英世3

「じゃあ早速、裏でここの制服に着替えてきて」


 ㅤまさか今日の面接に来るのが樋口だったとはな。誰か来るとは聞いていたけど、こりゃいいぜ。


 ㅤでもオレは樋口のことが好きなわけではない。ウラオモテ両方の樋口を知っているのは楽しいが、それは同時に恐怖でもある。


 ㅤただ、外面そとづらは良いわけだから、客引きになるかもしれないし、きっと働けるタイプだろう。もし、コンビニ強盗が現れたとしても、樋口の熊の目を出現させれば、どんな強盗もビビって逃げるかもしれないしな。


 ㅤオレはいつも可愛い子がバイトに入ると告白してフラれて、「辞めます」と言われてしまう。樋口に対しては、そんな感情を持ってしまう前に、他の子に恋をして付き合ってしまおう。


 ㅤ可愛いお客さん、来ないかな。来たらいいな。


「いらっしゃいませ」

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