第4話 過去

あれは今から10年前…。

まだ俺ら…俺と、明日香と龍と翠が小さかった頃の話だ。


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村の中心にある大きな御神木…とか言ったか。その御神木の下で残りの3人を待つ。…のだが、約束の時間からもう30分はたってるはずだ。なのに…なのに…なんで誰も来ない!!!


ゆう「あいつら何してるんだ!?」


そう俺が声を上げた時、ちょうどそこを通りかかった3軒隣のおばさんが声をかけてくる。


おばさん「あら…。あの3人ならさっき洞窟に向かっていくのが見えたけど…?」


ゆう「ど、洞窟ですか!?…おかしいな。今日は山探検とか言ってたのに…」


おばさん「あらあらあら…。あんまり危ないことはしないようにね?」


ゆう「はい!ありがとうございます!」


俺はそう言ってから洞窟に向かって走り出す。この村で洞窟なんて言ったら『北の洞窟』しかない。

あいつら追いついたら待ってろよー…!



俺は洞窟の近くまで来て走っていた足を止め辺りを見回す。

やっぱ中に入っていたかー…?つかここ。立入禁止の札がかけられてんだけど。

俺は大きく溜息をつきながらその札を避け洞窟に入っていく。


ゆう「おーい!明日香!龍!翠ー!?」


そう呼びかけてみても洞窟内に虚しく響くだけで返事は返ってこない。


ゆう「…しょうがないか…」


俺はリュックを背負い直して洞窟の奥へ奥へと入っていく…。

それが、俺らの運命を変えるだなんてそんなこと知らずに。



随分歩いた。

ここまで一本道しかないから入れ違い、なんてことないんだが…。

それに奥に行きすぎて真っ暗になってきたしこんなことなら懐中電灯を持ってくればよかったと後悔。


ゆう「…どこにいるんだよ…」


情けない。

ちょっと心細くなってきた。


俺は歩く足を早め奥へと進んでいく。

進んでいくと視線の先に少しだけ、うっすらと光がさしている。

あそこにいるかも…、と1歩を踏み出した時何かを踏んだらしくジャラ…と音がする。

何かと拾ってみると、それは青と黄色の玉と一つの大きい玉で作られたブレスレットだった。


ゆう「なんでこんなところに…。誰かノ落し物か…?」


俺はそれをなくさないように右腕に通し今度こそ、とその光の場所へ行く。

するとそこには予想通り3人がいた。


ゆう「おいお前ら!やっと見つけたぞ…!今日は山探検…じゃ…?」


俺は翠の肩に手を置いて、すぐ離す。

この洞窟は寒い。だから体が冷たいとか、服が冷たいとかはわかるんだが…翠の体は違う。とても熱かった。


翠「あぁ…。ちょっと、予定が変わったんだ」


ゆう「よ…予定が変わったんなら教えてくれたって…」


明日香「ゆうなら、俺たちを見つけてくれるかなって思ってさ」


明日香がこっちを見ずにそう言う。

なんだ…?この違和感…。いつもの3人じゃない…?


龍「でもゆう。ちょっと遅かったな」


ゆう「どういう__」


俺がそう言いかけた時、洞窟が音を出しボロボロと岩が落ちてくる。

まさか…洞窟が崩れてる…!?


ゆう「お、おい!やばいって!早くここから逃げないと…!」


翠「…大丈夫。ゆう"だけ"は助けてあげるから」


翠はそう言うと振り返って見覚えのないネックレスを首にかける。


ゆう「は…?」


明日香「そして俺たちはゆうやこの村のことを忘れるだろうね」


ゆう「おい…翠!明日香!?」


明日香は上に右手を挙げ見覚えのない指輪を光に反射させる。


龍「これが最後の…最後だな」


ゆう「龍まで…。なんだよ…なんなんだ…!」


龍は右の耳にピアスをしていて、こっちを振り向いて妖しく笑う。


翠「さあ…始めよう。俺たちの"恩返し"を!」


その言葉と同時に俺と3人の間に大きな岩が落ちてきた…。

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