第63話 あっ、あぶなかったのだっ

 


 ◇ ◆ レムリア視点 ◆ ◇



「レムちゃ...耳キーンて、する...」


「すっ...すまんのだ。い、いや、妾もだな、まさか爆発するとは思わなんだのだ.....」



 ええとあれは水蒸気爆発とかいうやつだったか?

 咄嗟に魔法で防げはしたのだが、ちょっとだけ間に合わなくてだな。凄い音で耳がキーンってなってしまったのだ...。



「しかし、やはり妾...。魔法の加減がうまく出来んくなってしまったのだ...」



 薄々感じておったのだが、いつもの調子で魔法を使うと凄く威力が出てしまうのだ。

 今も、妾と銀子だけを魔法で護ったはずだったのだが......。


  --うむ


 どう見てもこれは......指定範囲が広すぎだな。

 防御魔法で地面が円形状に抉れてしまってるではないか...。



「うぅ......。妾の芸術的な魔法のセンスが失われてしまったのだ......」


  --クイ

   --クイ


「レムちゃ...。冷たい...」


「お、おお、そういえば水でずぶ濡れだったな」


「んっ」


「じゃあ魔法で乾かしてしまうのだ」



 ええっと、そうだな、乾かすなら火魔法が良いか......。


  --ハッ


 そ、そうなのだ。今、魔法は危険なのだ。

 きっと乾かそうとしたら燃えてしまうに決まっておるのだ。



「ふぅ~......」


  --危なかったのだ...


 しかし、そこに気がつくとはさすが妾だなっ!

 だが、そうなると着替えるしかないのだが...。



「銀子、それ以外に服は持っておらんのか?」



 そう言えば結構ボロボロの服をずっと着ておるが、それがお気に入りなのだろうか?



「んっ、無い」


「そうか、特に思い入れが無いのであれば、妾が新しい服をプレゼントするのだが......」


「服、欲しいっ」


「むっ? そうか? わかったのだ」



 どうやらお気に入りで着ておったわけでは無かったようだな。


  --チョロ

   --チョロ


 っと、その前にだな。

 吹き飛んだ水がまた流れ込んで来ておってちょっと鬱陶しいのだ。


 窪みを作ってしまったからな、このままでは此処が池みたいになってしまうぞ。

 ふむ、そうなる前に凍らせてしまった方が良いかもしれんな。


 よし。


   --凍結(フリーズ)!!


「あっ......」


     --カキィィィィィィン


 やっ、やってしまったのだ。

 威力が出すぎて、かなり遠くまで凍って...。


 いや、まぁ遠くまで凍ってしまったが、よく考えてみれば特に問題は無いのだ。

 魔法を使った瞬間はちょっと焦ったのだが、うむ。


 特に銀子まで凍ってしまったりはしておらんし、今度から気をつければ問題ないな。



「レムちゃ......服っ......」


「お、おおっ、今だすのだっ」



 そうだな、折角だから効果が色々ついている物が良いな。

 インベントリの中に、確か妾のお古がいっぱい......おっ?


 これは、イベントで配られて、錬が魔改造したメイド服ではないか!

 これなら色々防御魔法もかかっておるしな、丁度良いのだ。



「じゃあ、銀子にはコレをあげるのだっ!」


「んっ!!」



 おお、喜んでくれたみたいだな。

 って、ちょっと待つのだ。



「銀子、それは後ろ前逆なのだ。そうそう、そっちが前でだな、いや、その紐は肩に掛けるのではなく、腰の辺りを縛るのだ。いやそれは......もう妾がやるからこっちに」

「んっ、ギンコがやる」


「そっ、そうか?」


「んっ」


「あっ、銀子っ、そこは頭が入る場所なのだ。そう、そっちが腕の穴だなっ」



 さてと、銀子が着てる間に、妾は焚き火の準備でもするか。

 このままだと銀子が凍えてしまうからな。


 妾は寒くても病気になったり死んたりはせんが、銀子は違うだろうし、早く温かくせねばならんのだ。


 薪はインベントリに入っておるし、これをこう並べて。

 後は魔法で火をつければ。



「魔法......」



 着火(ディダ)は......。

 ......。


 着火(ディダ)も威力が上がっておるはずだしな。

 もっと威力の低い魔法にせねばな。


 低い...火の魔法...。

 松明(トーチ)の魔法なら、流石に燃え上がったりは...せんよな?


 よ、よしっ。


 ......。


 ...。


 いや、念の為、盾(シールド)をかけといた方が良いか。

 そうだな、何が起こるかわからんし......。


  --シール.....ぬぉおっ


 あっ、危なかったのだ。

 盾(シールド)も威力がどうなっておるかわからんのだ。

 

 浮遊(レビテーション)や降りる時に使った風蹴(エアステップ)みたいな威力が上がっても効果が変わらんものなら問題ないがな。

 威力が変わるのは要注意なのだっ。


 んぬぬ......。


 ......。


 んっ?


 今、何処かから悲鳴みたいなのが...。

「.....ぉ...ぉぉぉおぉ......ぉぉぉぉぉおおおおおおっ」

「んむ?」

   --ドンッ

「ぬぉぉおぉぉぉっ」「うおおぉおおおぉっ!?」

 

   --ズザザザザザザザァ......



「んっ、レムちゃ、着れたっ!!」



 

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