心の底に沈むあの日の記憶

石窯こころ

第1話

 世界には数え切れないほどたくさんの人がいる。けれども、自分に関わりがある人は1パーセントもいない。親、兄弟、恋人、友人……。多く見積もっても15人ぐらいだろうか。これまでの20年間、そんな関係のある数少ない人たちと良い関係を築いてきた。少なくとも自分ではそう思っている。

 部屋の温度は30度近いせいか、頭も体もうまく働かない。そんな猛暑の中、扇風機がけたたましい音を立てながら、部屋の温度を下げようと頑張っている。この暑い中、どうしてそこまで頑張ろうと思えるのだろうか。そんなその頑張りを私も見習おうと、立ち上がり、部屋のドアと窓を開けた。そして冷凍庫に寄り道をしてアイスを手にした。そして耐えきれなくなり、再びごろんとソファーにうずくまった。先程よりも涼しくなった部屋で食べるアイスは、この上なく身にしみる味であった。

 逆さになって見上げるたカレンダーは7月を示している。しかし今日は土曜日で、7月は2日ほど前に終わっているため、今日は8月2日なのだろう。つまり私があの人と出会ってちょうど1年が経ったということになる。あの日のことは、正直よく思い出せない。それでも今もなお、心を支配し続けるこの気持ちは本物なのだろう。

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