疲労回復、血行促進、胃もたれに。各種の薬草茶や嗜好品、茶器や茶菓子まで扱うお茶屋さんがある。

その名も黒猫茶寮。

そちらへ旅行する、おすすめの店や観光スポットを教えて、と友人から連絡があったので、名前を挙げた。ショップカードの地図も写真に撮って添付しておく。

「めっちゃ怪しいやん。漢方？　住所教えて、グーグルマップで調べる」

「漢方じゃないし、グーグルマップにも食べログにも載ってない」

「そんな店が地球上に存在するんか」

するんだよなあ、それが。必要なとき、必要な人の前にだけ現れるお店。私？　店員です。

数年ぶりに会う彼女には何を振る舞おうか。

後ろで、看板娘にして店主の黒猫が三本の尻尾を揺らして伸びをした。

（2018.6.10 第2回静岡文学マルシェポストカードギャザリング参加作）

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