第18話 r:

『あぁ、うん。おめでとう』

 そう思うけれど感情がついていかない。

『へぇ、そうなんだ。よかったね』

 そう思うのが正しい場面だ。

『えっ? いや、わたしはないよ』

 こっちには振らないでほしい。求めていない。

『うぅん、まぁ、そうなんだけどね……』

 人には言えるものだ。わたしもそうだけど。

『うん、うん。』

 早く終わらないかな。

『あはは……』

 正直、うんざりだ。

『うん。わかった。わたしも嬉しいよ』

 やっぱり感情がついていかない。心がささくれ立つ。

『うん。じゃぁ、その時に』

 どんな顔をして?

『とにかく、おめでとう。うん、じゃあね』

 早くしないと、何かを戻してしまいそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る