七罪の魔女~Destiny or DEAD

黒瀬アリス

第1章 悲劇の始まり

1節

 痛いいたいたい、いたい…と悲鳴ひめいを上げながら地面にころがる青年せいねんが一人いた。

 青年の左腕はちた腕は役割を放棄ほうきしたかのようにだらしなく地面に落ちていた。

 かろうじて意識いしきがあった青年は力を振り絞って上を見た。

「まだ生きてるんだすごいね」

 そこにいたのは、さっきまでとなりを歩いていた女性だった。

「ど…して、き、み、が」

 ようやく言葉を発した青年は彼女がしたことに対して信じられないような顔をしていた。

「どうしてって?ふふっ♪もう恋人れんあいごっこするのも飽きたかしら」

 そう言って彼女は一瞬の間に本当の姿をさらす。

 16、17の少女になると体から紋章もんしょうの刻まれた石を取り出した。

「私は七罪の魔女まじょの一人アンジェ、魔女狩りをするエクソシストにさばきを加える」

 それは、静かに、でも怒りは忘れてない表情で男をにらむ。

「お前たちは調子に乗り過ぎたのだ。無抵抗むていこうの魔女、無関係むかんけいな人間をどれだけ処刑したら気が済む?」

高いヒールで男の顔を踏む、何度も、何度も

「がぁっ!!ま、じょが」


言いたいことはそれだけか?彼女が問うと男は何も答えなかった。

「そろそろ死になさい。エクソシスト」

アンジェは右手を鳴らすと、男の体が音もなく爆発して原形をとどめていなかった

「魔女を一方的に処罰する世界なんて壊れたらいいのよ」


「さーて任務完了っと…うっ」

「—―ッ」

少しノイズを立てて彼女の体を走ったのは


「…はぁはぁ」 

ぽたぽた流れたのはあの冷酷な魔女から流れた一筋の涙だった

「そうやっていつも、感傷に浸って泣くことはやめないか?」


ちょこんと後ろを取ったのは一匹の猫だった

猫はアンジェに近づくとその肩に乗った

「テトラ、いたのね」


「うん、僕は君の使い魔で監視役だから」

「いつもはロックがかかっている人のきおく。でも気の緩みや、死の間際、死んだ後に限って無条件に見えるんだから仕方ないでしょう?」

七罪の魔女だけに与えられる特殊魔法。7人がそれぞれ違う能力を持っている。

「それはそうとアンジェ様、お手紙です」



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