第6話「一人っ子の俺と三人の妹候補たち!?」
「ふぁ〜あ〜」
朝、目が覚めるとそこは、いつもの俺の部屋だった。
「おはよう〜」
まだ、半分しか目が開かないまま一階のリビングへと降りる。
そこには、父と母がいた。
「あのさ、俺って妹いたっけ?」
「妹?いるわけないじゃない」
「だよな」
顔を洗いに洗面所に行く。
歯ブラシも三本。
やはり、俺には妹はいない。
『誰も選ばない』
あの時、俺はその選択をした。
どうしても選ぶことなんて出来なかった。
だって彼女達は、みんな俺の妹なんだから。
選ぶことなんて出来ないよ・・・・・・
「行ってきます」
今日から新学期が始まる。
クリーニングに出された綺麗な制服を着て、高校へと向かう。
サヤカと買い物に行く時に通った道。
公園を通り過ぎる。
彼女達と星を見て、そして彼女達と別れた場所。
「バイバイ」
俺の選択を聞いた彼女達から最後に聞いた言葉。
どうしてだろう?
彼女達は、俺に向けて笑ってくれた。
でも、その笑顔は、俺にとっては結構きつかった。
「おはよう〜」
教室へと向かう。
新学期になったからといって特に変わりばえはしなかった。
始業式を終え、クラスに戻る。
今日からまた平凡な毎日が始まる。
「みんなおはよう〜 今日から新しいクラスメートが三人増えます」
「えっ転校生?」
「男かな? 女かな?」
先生の発表と共にクラスがざわつき始める。
男でも女でもどっちでもいいじゃないか・・・・・・
「じゃあ入ってきて〜」
ドアが開き転校生が入ってくる。
「えっえ! え〜!」
クラスメート達の視線が一斉に俺に集まり、その視線はすぐに前へと戻る。
だって・・・・・・ だって・・・・・・
「じゃあ自己紹介してね」
「私の名前は、上原 サヤカ です」
「モモの名前は、 上原 モモ だよ〜」
「ウチの名前は、 上原 ユイ」
『よろしくお願いします!』
彼女は、いや彼女達のことは、俺はよく知っている。
なぜなら、俺の妹だった彼女達だからだ。
ホームルームが終わった後すぐに彼女達の元へと向かう。
「あのっ!」
「なに?」
「ど〜したの?」
「なんか用?」
「俺の事知ってるかな・・・・・・?」
『知らない!』
彼女達は、息を揃えてそう言った。
「あ、ごめん・・・・・・」
彼女達は、俺の事を覚えてはいなかった。
もちろん、俺の妹でもなかった。
でも、何故か僕は悲しんではいなかった。
いや、それどころかワクワク感に満ち溢れていた。
『だってもう一度会えた、それだけでも奇跡だから!』
平凡な日常?
俺には当分訪れそうにはなかった。
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