咲夜家の不思議な日常

シキ

日常の崩れる音

「なん……で……?」

少女が目を覚ますと、《人》が死んでいた。

獣に襲われたような、かろうじて原型がわかるような状態の《両親》だった。

目の前の惨状に頭が働かない。

『おや、お目覚めかい?』

ふと、《声》が聞こえた。

周りには何もなく、どこから聞こえてるのかもわからない。

男性のような、女性のような。

幼いような、老いたような。

不思議な声。

「だれ?」

なんとか、声を絞りだし《声》に問う。

『誰、か。私は■だよ』

聞こえない。ノイズのような音がして聞こえない。

『まぁ、いつかわかるんじゃないかな?』

「あなたが、おかあさんとおとうさんをころしたの?」

『違うよ』

「じゃあ、だれが?」

『さあ?いつかわかるんじゃない?』

「ほんとうにあなたじゃないの?」

『信用ないなー。まぁ、仕方ないとは思うけどさ』

《声》がくすくすと笑う。


『君は目覚めてしまった』


《声》が嬉しそうに、悲しそうに言う。


『君はこれからも辛い思いを多くするだろう。だからこそ《自分》を、君を大切に思ってくれる《人》達を疑わないで』


気が遠くなっていく。


『君は両親を殺した何かを探してしまうだろう、だからこそ……』


少女は気を失う。

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