学校一恐ろしい教師がウンコを漏らした話
冬のキリギリス
第1話 鋼のメンタル
僕は自分の鼻を疑った。
目の前で普通に授業を進めている教師の臀部からまさしくウンコの臭いがするからだ。教師といっても、そこらの教師じゃない。
あの恐田先生からだぞ。
だって恐田先生といえば、ウチの学校で一番怖くて一番威厳がある人物だ。息がウンコ臭いとかなら全然有り得る話だが、お尻がウンコ臭いって、それはもう、そういうことじゃないか……!
―――彼は僕、
五年程前に強盗放火連続殺人で男が指名手配され、ワイドショーを賑わせたがその男にそっくりなのだ。だが本人によると、警察のDNA鑑定で潔白は証明されているらしい。そこまで行ってる時点で既に恐ろしい。
そして見た目だけではない。その恐ろしさは行動にも現れている。まず、授業で忘れ物をしようものなら【ケツバット】される。
ケツバットとは名前の通り、お尻をバットで叩かれることだが、これがとにかく痛い。時代錯誤の体罰で問題になりそうなものだが、恐田先生曰くプラスチック製のバットなのでセーフらしい。
そして、授業をサボるような生徒にはもっと手痛い仕打ちが待っている。以前実際に授業をサボり、先生と大いに揉めた不良が居たが最終的に睾丸を噛みつかれていた。時代錯誤の体罰で問題になりそうなものだが、恐田先生曰く入れ歯だから自身の歯ではないのでセーフらしい。最早何に対してのセーフなのかも良く分からない。
―――これらのことは本の序の口で、他にも数々の伝説を残しているが全部挙げるとキリがないので止めておく。
とにかく恐田先生とは恐ろしい男なのだ。
そんな恐怖の象徴みたいな人が今まさに目の前で国語の授業をしていて、そしてウンコ臭を放っている。僕の席は最前列、しかも教壇の真ん前なので被害は尚更だ。
教室に入ってきたときは何も異常なかった。しかし、チャイムが鳴ると同時に異変が起きた。恐田先生のお尻が、それはまるで第二形態に変身するかの如く、みるみるうちに膨らんでいったのだ。それと同時に辺りに漂うウンコ臭……決まりだ。
状況証拠が揃いすぎている。普通なら適当に理由をつけ生徒達には自習でもさせておき、自身はすぐさま教室を離れるだろう。だが彼は、恐田先生は違った。
「チャイム鳴ったぞー。さっさと席につけー」
声が教室中に響き渡る。
なに授業始めようとしてるんだ!
僕は驚愕した。何故、何も起きてないかの様に振る舞えるのか僕には信じられなかったからだ。そんななか、先生は更に続ける。
「おい、もう授業は始まってるんだぞ!授業に関係ないものは机の上から片付けろー」
お前が片付けろ!
そのお尻のこんもりしたモノを魔法の片付け術とやらで早く片付けてくれ!
僕の心の中で憤慨した。溢れ出す想いが止まらない。
お前の糞害でこっちは憤慨してるんだ! 鳩かお前は!
もちろん、これらを声に出して言うことなど出来るわけもなく、僕はやり場のない怒りをただただ消化出来ずにいた。
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