詭弁アポカリプス

キリン

プロローグ

苔まみれの御都合主義

秋が嫌いである。

 あ、いや、ごめんね、簡単に嫌いとか言っちゃいけない。秋がニガテである。

もちろん、残暑や嫁を獲得し損ねた哀れな蝉の音が鬱陶しい、というのもあるが、

〇〇の秋とか、〇〇の秋とか、何かしらの欲望を満たすために強引に理由をこじつける「御都合主義」というやつが、もはやなんでもアリなようで、私はめっぽう嫌い…ごめんね、ニガテである。


 本当はこのプロローグだって、涼風吹く校舎の屋上で始めたかったのだ。なのに、

「生徒に万が一が起こった時の対応が恐らくかなりしんどい」

という学校側の「御都合主義」によってその望みは屋上の鍵穴と共に潰え、私は現在、どういうわけか学園祭に賑わう教室棟校舎の裏手、かつて戦国の世にて領主が愛したとされる大井戸の中で、苔に塗れながらこの妄想を展開している。

なに?わけがわからない?そうだろう、私にだってまだよくわからない。

手持ちの15cm定規じゃ絶対に上まで届かないし、届いたとしても定規じゃ何も出来ない。非常に不得手である。

どうしてこうなったのか、それを説明するには、学園祭が開始となったおおよそ3時間前まで遡る必要がある。とりあえず一緒にご清聴願おう。

 

 

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