俺の人生にはまだヒロインは登場していない

夜桜

第1話これがテンプレか・・・いや、そんなわけないだろ!?



「お兄ちゃーん、朝ごはん出来たから起きてー!」

 

 朝、とても眩しい日差しが寝ている俺の顔にあたる。聞きなれた妹の声で俺、霧島 翔矢は目を覚ました。そして、ベットから起きて部屋着から制服に着替えると部屋を出てリビングに向かった。

 

「お兄ちゃんおはよう!今日は入学式だね!それと・・・その制服似合ってるね!」

 

「あぁおはよう。てか、制服似合ってるって昨日も言ったぞ」

 

 挨拶してきたのは今年で中学3年生になる俺の妹、霧島凛だ。凛は俺の妹でありながらとても優秀だ。凛は運動神経抜群で勉強も出来て、そして何より可愛いと、中学校では大人気なのだ。

 だが、妹はある欠点がある。それは、俺のことが好きすぎるということだ。

 確かきっかけは妹が小学校の時に川で溺れそうになった時かな。あの時は俺が必死で助けたがその後が大変だった。なんせ、妹が俺にベッタリだったからな。死にそうになって俺に惚れたのか?

 

「ねぇ、お兄ちゃん。何か今変な事考えてなかった?」

 

「えっ!考えてないけどどうかしたか?」

 

「お兄ちゃん顔がニヤけてたから」

 

「そ、そうか、それは今日入学式だからだな。それに最近引越ししたばっかりだから楽しみなんだよ!」

 

「ふーん、そうなんだ」

 

 そう言って顔を背ける妹。

 

 あぶねー、これが女の勘ってやつか!?恐ろしい。

 

 俺はそんなことを考えていた。

 そして、俺達は俺が言った通り最近このあたりに引っ越してきた。引っ越した理由はよくある親の転勤で引っ越してきた。俺たち家族は元々、東京に住んでいたが、親が青森の支部で社長をやるから、と言って俺達は青森に引っ越した。

 ちなみに、親は今、俺と妹を残して青森の色々なところを観光していて帰ってくるのが遅いそうだ。

 

 てか、なんで仕事じゃなくて観光してんだよ!

 

と、前にツッコミを入れたけどな。

 それに青森は俺が想像してたより田舎じゃなく、そして、都会でもなく結構居心地の良さそうな場所だった。

 俺は引っ越してきた日、駅前に行ってきたらとてもビルや人がいてとても田舎とは思えなかった。

 

「ところでお兄ちゃん。もうそろそろ学校に行ったらどうかな?」

 

「あぁ、もうそんな時間か。分かった、行くよ」

 

「うん!いってらっしゃい!」

 

「おう!いってきます」

 

 そう言って俺は家を出て、本当は自転車で学校まで通う予定だったが自転車を買っていないのでバス停まで歩いていく。

 

 それにしても、早く自転車を買いたいものだ。歩くなんて疲れることは俺はしたくない。

 

 そう思って道路の角を曲がると立ち乗りをして普通の自転車より速いスピードの自転車が突っ込んできた。

 

 うおっ!あぶね!

 

 ガシャン!

 

 俺はとっさに避けたが少しぶつかって俺は尻餅をついた。

 だが、自転車にぶつかった時に俺は呑気にこんなことを考えていた。

 

 曲がり角で何かにぶつかるとかこれがテンプレか・・・いや、これ絶対違うだろ!? 明らかに自転車だったぞ!?

 

「いったーい! 誰よ! 急に角曲がってきた人は! 」

 

 そして、その後ぶつかった本人の声が聞こえてきて俺は反射的に振り返って文句をいった。

 

「いや! お前が自転車スピード出しすぎるからぶつかったんだろ! 」

 

「なによ! あなたが考え事して曲がるからいけないんじゃない! 」

 

 そして顔をよく見ると彼女は赤茶色の髪を左右で結びツインテールできつい目をしているが顔は可愛く、よくアニメで見るようなツンデレキャラのようだった。

 そこで、俺は気づいた。いや、気づいてしまった。彼女が今どうゆう体勢なのか・・・彼女は尻餅をつき、足を大きく開けてスカートの中をよく見えるように座っていた。

 

 あ、パンツピンクなんだー。キツそうな性格の割に結構可愛いの履いてんなー。

 

 なんてことを思って見ていると彼女はその視線に気づいて顔を赤くして叫んだ。

 

「ちょっ!どこ見てんのよ! この変態! 」

 

 そう言って俺にビンタを一発やって自転車を拾って今度はさっきより早く走っていった。

 

「くっそ、何なんだよあいつは。まぁいいや今度あった時は容赦しねー」

 

 そう言ってバス停にいき、バスに乗り学校まで行った。

 

〜〜〜

 

 俺は学校について、早速自分のクラスを確認しに行った。

 

 俺のクラスは・・・1組か

 

 確かめた後は教室を探す。だが、俺が思っていた以上に学校は複雑ですぐに迷った。

 

 くっそ、この学校の構造わかんねーから教室がどこか分からねー

 

 そう思いながら廊下を歩いていると人にぶつかった。

 

「きゃっ! 」

 

 そんな可愛らしい声でぶつかって転んだ少女をみて俺はさっきとは違う展開で良かったと思ってしまった。彼女は背が小さく小動物のようで黒髪でロングヘアの美少女だった。

 

「大丈夫か?怪我はないか? 」

 

「はい!大丈夫です。あなたもお怪我はありませんか? 」

 

「あぁ大丈夫だ」

 

 そう言ってよく制服を見てみると1年生がつける紋章が付いていた。

 

 あ、こいつも1年か、仲良くしておこうかな

 

 それに、道を聞けるチャンスだ。

 そう思って俺は彼女に道を聞くことにした。

 

「そういや、俺1年1組なんだけど教室知らないか?道に迷っちゃってさ」

 

「あ!そうなんですか!奇遇ですね、私も道に迷っちゃって聞こうと思ってました!それで知ってますか? 」

 

「・・・え? 」

 

「・・・え? 」

 

 こいつも道に迷ってたー!くそっこれじゃあダメだ。近くに地図とかないかな。

 

「えーと、道に迷ったなら地図とか探してみようか」

 

「は、はい!そうですね! 」

 

 そうやって地図を見つけ、俺は無事に教室に戻ることが出来たが・・・

 

「あれ?君も1組なの? 」

 

「はい!奇遇ですね私も1組です!よろしくお願いしますね! 」

 

 あれ?俺さっき1組って言ったよな?まさかこいつ聞いてなかったのか!?

 

 まぁそんなことを口に出さず自分の席を探す。

 

「んじゃー俺の席は・・・あ、真ん中の列の一番後ろか」

 

「あ、そうなんですか!私は・・・あ!隣ですよ! 」

 

「へ、へ〜偶然だねー」

 

 これは絶対おかしいだろ!?

 

 そんなことを思って席につくと彼女は右側の廊下側の席に座った。

 

「あ、ところで自己紹介がまだだったね! 私は石岡愛澄です!よろしくね! 」

 

「おう、俺は霧島翔矢だ、よろしくな石岡さん」

 

「ん〜!私のことは愛澄って呼んで! 」

 

 苗字で呼んだのが気に入らなかったのか頬を膨らませて注意してきた。

 

「あ、あぁ愛澄よろしくな」

 

「うん!よろしくね! 」

 

 そうやって色々話していると男の若い先生がやって来た。

 

(ねぇねぇ!あの人が担任じゃない? )

 

 なんか、愛澄が小声で話しかけてくるので返事をしてやる。

 

(そうなんじゃないか?まぁどっちにしろ若いな)

 

(そうだね、あの人まだ30は言ってないんじゃないか)

 

 などと話していると先生が話し始めた。

 

「よーし、それじゃあ自己紹介をするぞー、俺はこの担任をやることになった小林だ。よろしくなー」

 

 そんなヤル気のない先生はその後出席をとっていった。

 

 あれ?俺の窓側の隣来てないが・・・まぁいいか。

 

 そして、俺の番もきて、隣の席のやつの出席をとった。

 

「えーと鈴城は~遅刻っと。入学式早々遅刻とは後で話してみるか」

 

 そんなことを言って出席をとって終わったところで先生はあることを言った。

 

「それじゃ、時間まだあるからこれから1人ずつ前に出て自己紹介していけー」

 

 そんな感じで俺達は自己紹介させられるハメになった。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺の人生にはまだヒロインは登場していない 夜桜 @Yozakura1122

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ