　人は何のために生まれ、そして何を為して死ぬのか。

　目を瞑ると、哲学的な自問が脳の奥底から湧き上がってくる。いつもの悪い癖だ。

　何か物事を考えようとすればするほど、別な何かが、それもとてつもなく大きな、遠く離れた空想が邪魔をしようと顔を覗かせる。

　思想的なことを論じたいのではない。ただ、目の前の問題を解決しようという努力から、思考を遠ざけようとしているのだ。

　精神の逃避。

　心の安寧を確保しようという拒絶反応。

　なんて、格好良い語彙を並べても、無様な現状は変わらないというのに。

　私という自己への認識を、私はしかと定めるべきだ。

　そうしなければ私は、いつまで経っても今置かれている状況のように、覆しようのない流れに飲み込まれ、沈み続けなくてはいけなくなる。

　状況は、はっきり言って最悪だった。

　詳しく描写すると、目隠しをされて、どこかに連れられて、恐らく椅子に座らされている。それ以外の情景は幾ら目を凝らそうと視界が真っ暗なため、想像もつかない。

　ただ一つ。

　分かっているのは、私はこれから、見も知らぬ九人の人間と、命のかかった殺し合いをしなければならないということだけだった。

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