第221話 アストラッドへ⑦
「おい、この部屋で間違いないんだな」
外で声がする。数人の男が居る様だ。
「この宿で銀貨2枚も払ったんだ、金持ちに決まってる。若造二人だからこの人数なら問題ない」
やがて詠唱が聞こえだした。
「ロック」
ルークが小声でロックを呼ぶ。
「睡眠の魔道詠唱だよ、一応相手に気が付かれないように撥ね返しておくから眠った振りをしておいて」
「判った」
ロックは話が速い。
カチッ。扉の鍵が開いた。少なくとも鍵を持っているようだ。宿屋もグルなのか。
「眠ってる、大丈夫だ」
ぞろぞろと五人の男が部屋に入って来た。二人の様子を伺いながら財布を探しているようだ。
「あった」
「何があったって?」
その言葉を吐いた時にはロックとルークは二人を倒し二人を拘束していた。残りは一人。
「なんでだ、効かなかったのか」
「あんたが魔道士か、うちの魔道士の方が一枚上手だっつたな」
「あなたたちは、ただの強盗ですか?」
「ん?どういう意味だ?こいつらは強盗だろ、現に一番に財布を探していたぜ」
「それはそうなんだけど、何か裏がありそうな気もしたもんだから」
ロックとルークは四人を完全に拘束して魔道士だけ残した。話を聞くのは一人だ。
「なんだ、裏があるのか?」
自白させる魔道も有るのだがルークは得意としてはいなかった。
「裏があるのなら自分で話してくれませんか?」
ルークの言葉はキツくはないが強かった。
「なっ、何もない、ただ金が欲しかっただけだ」
それはどう聞いても裏があるように聞こえた。
「脅せば話すか?」
ロックが剣を向けて少しだけ凄む。ロックの腕を知っている相手はそれだけで怯んでしまった。
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