第42話 捜索②

「それで、とりあえずどうすればいいんだろ

うか。」


「えっ、ルーク、考えがあるんじゃないの?」


 キスエル老師の提案にあまり抵抗が無いよ

うだったので、一同はルークに妙案があるか

心当たりがあるものと楽観していた。ただ反

論する間がなかっただけ、だったのか。


「まあ、いきなり何かが出来るとも思えない

し、街の様子でも見て回るか。」


 四人はほとんど見る機会がなかった街を回

ることにしてた。


 街は整然としていた。数千人にも及んだ遺

体は全て片づけられていた。港湾局も機能し

始めていた。ロスには警察組織は無かったの

で港湾局が動き出せば街は平静を取り戻せる

のだ。


 とりあえず港湾局に向かうことにした。港

湾局はロス港の南端にあった。


「ちょっといいかな。」


 ロックが港湾局の前に居た若い局員風の男

に声を掛けた。


「あなたたちは?」


 不審そうな目で聞き返す。当り前だ、時期

も時期だし対応に追われて忙しい最中だった。


「俺たちはただの通行人だよ。ただ蔓延して

いた流行り病はどうなったのかと思ってね。」


「それなら見てのとおりです。なんだかよく

判りませんが老人が飛んできて指示を与えて

去っていったら全て収まってしまいました。

僕たちは後始末に忙しいので、もういいです

か?」


「判った。悪いね。でも、責任者の人と話が

したいんだ、取り次いでもらえないかな。」


「局長代理とですか?」


「局長は?」


「真っ先に亡くなりましたよ。今はダンテ代

理が指揮を執っています。で、代理に何か御

用ですか?いずれにしても名乗りもしない方

を通す訳にはいきませんけど。」


「ロック、彼の言う通りだよ。僕はルーク=

ロジックといいます。」


「ロジックって、まさかヴォルフ公の縁者の

方ですか?」


「彼はヴォルフ伯父の養子なんだよ。」


「ヴォルフ伯父?」


「ああ、実際の伯父ではないけどね。公は俺

の師匠さ。俺の名前はロック、ロック=レバ

ード、彼女はレイラ=イクスプロウドとその

侍女フローリア。怪しい者じゃないさ。」


「イクスプロウドってガリア公のご息女なん

ですか。」


「そうです。取り次いでいただけますか?」


 レイラは侯爵令嬢として振舞おうと思えば

振舞えるのだ。気品あふれる言葉に押されて

港湾局員は四人を案内するしかなかった。


「僕の名前はギャロ=シプレック、去年から

ここで働いています。まさか、すぐにこんな

ことになるとは思っていませんでしだか。」


「だろうね、大変だったね。僕たちは今回の

流行り病に原因があると思っているんだ。流

行らせた犯人が居ると。それで詳しいことを

聞きたいのと犯人捜しを手伝ってくれないか

な。」


「そうなんですか。許せませんね。僕も代理

の許可が出ればお手伝いさせてください。」


 味方が一人増えた。

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