第九章 容赦なき触手プレイ

24:すべて、絞りとられた



 触手プレイと聞くと、マニアックなプレイだと思う人っていると思う。

 でも、えっちなゲームの世界ではまあまあメジャーなんじゃないかな。

 可愛い女の子たちが触手に捕まって、身体のいろんなところを弄られるやつ。

 現実で触手っていったら、虫みたいのを想像しちゃうし、グロいよね。


 でも二次元の世界なら、存在しないからこそ触手のグロさを控えめに表現し、ただただ非日常的なえっちシーンだけを描くことができるんだ。


 中にはえっちすることしか頭にないような、卑猥な形をした触手もある。さきっぽが亀頭みたいになっていたり、程よい刺激を与え続けられるボツボツが生えていたり。白い液体を噴出する謎触手もあるよね。


 そういった触手を使ったゲームのCGを、ひたすら眺めて一日を潰したこともある。


 俺的には、触手に捕まっているシーン、服の上から触手で撫でられているシーン、おパンツなどを破るシーン、そして挿れられてしまっているシーン。

 という風に、段階的にイベントCGが用意されていると尚良い。いきなり脱がして挿入!なんてダメ。

 お楽しみは後に取っておかないと。




 というようなことを、俺は常々考えていた。


 つまり、俺は触手が好きなんだ。でもさ、それは二次元だからよかったんだよ。

 そもそも俺って、こう見えて紳士だからね。

 脳内では愛する女の子のために、服を作ってあげたり、料理を作ってあげたり、付き合って1ヶ月目の記念日に花火を打ち上げたりするくらい尽くすタイプだからね。


 触手にいじられて怖い思いをする女の子なんて、見たくないんだ。

 えっちなゲームの女の子は、実在しないからセーフってだけ。

 現実での触手はお断りです。

 お断り、したかったです。

 それがまさか、俺自身が触手にいじられる日がくるなんて。



           ♡♡H♡♡



 今日のコースは、二度目の恋人コースだ。



「今回はタコ族のマリーさんと、カップルを演じてもらいまーす」


 ルーシアさんが言うから、少し不安だったんだよ。

 タコ族ってなんだよって。

 プレイルームに入ると、ベッドとシャワールームだけがあって、えっちなことだけをする感じなのかなって、ちょっとだけ期待しちゃった。


 するとシャワールームの扉が開き、マリーさんが現れた。

 金髪縦ロールのお嬢様スタイルで、おっぱいも大きいんだ。

 しかも、全裸。


 エロい!

 と思うよね。


 でも、下半身がタコなんだ。触手があるんですよ。虫みたいな触手じゃないだけマシなんだけど。

 わかるよ?

 こういう女の子も好きな人は好きだよね。

 でも俺はノーマルなんだ!



「あなたがトモマサですのね? ではさっそく、わたくしのお相手をしてもらいますわーっ」


 目をギラギラさせて、タコ足が一斉に俺を襲った。


「うわあああ」


 一応逃げようとはしたんだけど。


「おーっほほほほ! わたくしの触手から逃れるすべなどありませんわ!」


 一瞬で両手両足を絡め取られ、



「まずはお口からですわ」


 口の中に触手を突っ込まれた。

 ひゃあああん、生臭いよーっ!


「あああっ、殿方のお口にわたくしの身体がっ! 感じちゃいますわぁっ!」


 マリーさんは自分を抱くようにして、びくんびくんと震えている。

 魔族っ娘とえっちなことをしたいとは言ったけども!

 こういうタイプは想定していなかったよ。

 ああ女神様、今日だけでもどうか、俺に特殊な性癖を授けてください。



「うふふ。わたくしの足は全部で八本。一度にいろんなところを攻めてしまいますのよ」


 マリーさんがじゅるりと舌なめずりをする。

 俺は口に突っ込まれ、手足を封じられたままの状態。

 そんな俺の下半身に、新たな触手が迫り


「んあああーっ」


 すべて、絞りとられた。






 夕方。

 とってもダルい身体を引きずるようにして、自室に帰る。



「おかえりなさい。今日はとっても楽しんだみたいですね」


 何故だか不機嫌な女神様が出迎えてくれた。



「そう見えた? 残念なことに、俺に触手で犯される趣味はないんだ」

「元気そうでしたけど」

「あれは不可抗力というか。えっ、女神様、そんなところまでじっくり見ていたの?」


 女神様がハッとなって、顔を赤らめた。


「女神様に視姦されたのかと思うと、ちょっと元気が出てきた」

「どんな変態ですかっ!」


 人のプレイも毎日盗み見ている女神様も、なかなかの変態だと思うけど。


「まあいいです。この話はおしまいです」


 おや?

 今日の女神様はいうほど不機嫌ではないらしい。

 よくわからないタイミングで怒るかと思えば、急に元気になる人だなぁ。



「それより、今日はルーシアさんがいないので、晩御飯が用意されないようです」

「じゃあ、外で食べようか。作れる人がいないんじゃ仕方ないしね」

「さりげなく、私も料理出来ないことにしましたね」

「えっ、女神様って料理できるんですか?」

「出来ますよ。得意ですよ」

「またまたぁ」


 女神様がむっと頬を膨らませた。


「なら作ってみせますよ。材料を買ってきますので待っていてください」




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