17:女神様って、案外えっちですよね。オナニーとか、してるんですか?



 うひょっ!

 今度は背中に、小さいけど柔らかい感触ががが。これは、おそらく、さっき味わった女神様のおっぱいぱい。


 さわさわ。

 小さな女神様の手が、シャツの上から俺の胸を触った。指先が乳首をかすめた。


「あふんっ」

「へ、変な声出さないでください……」

「でも、プレイには演技力も必要だろうし」

「た、確かに。わかりました。あえぐのは許します」


 女神様の右手がシャツを少しだけめくり、まったく鍛えられていない、細身なのに意外とだらしのないお腹を撫でた。

 ちょっと、いやかなり、恥ずかしくなってきた。こんなことなら腹筋を鍛えておけばよかった。



「ど、どうです……?」

 女神様が耳元で囁いた。


「なんか、すごくえっちです」

 気持ちいいわけではないのに、ドキドキ感が凄すぎて、心地いい。


「そ、そうですか。わかりましたか? これが私のテクです」


 声が震えているよ女神様。

 顔、死ぬほど真っ赤なんだろうなあ。




「女神様って、案外えっちですよね。オナニーとか、してるんですか?」




 股間を蹴られた。

 股間をおさえ、蹲る。

 ちらりと後ろを見ると、女神様の白いおパンツが見えた。

 着替えてねええぇ。


 えっ、俺、下着姿の女神様に触らせていたの?

 マジでセクハラじゃんか。いやいや、女神様だって了承したんだし、合法だよな?


「トモマサさん……」


 ジト目になる女神様。



「な、なんです?」

「コミュ障言う割には、私には遠慮ない発言しますよね。私のこと、女として見ていないってことですか? だから、普通に話せるんですか?」


 急に何を言いだすんだ?



「まさか! 女神様は可愛いよ! 舐めたいくらいに!」



 とっさに叫んで、失言だったことに気付く。

 確かに、女神様相手だと他の人には言えないことも言えてしまう。

 でもそれは。


「そ、そうですか。可愛い、ですか……」


 あ、可愛い発言が効いたらしい。

 恥ずかしそうに俯いて、舐めたい発言の方はスルーしてくれた。


「でも、ならどうして私とは普通に話せるんですか!」

「それは、多分……」

「……多分?」

「女神様は俺のこと全部知っていて、その上で一緒にいてくれているから、安心出来るんだと思います」



 へたれなのも、童貞なのも、友達のいないコミュ障なのも、全部バレているからね。そもそも会っていきなり、えっちなこと出来る世界に行きたいってお願いしちゃったんだ。

 今更なにを言っても幻滅されることはないだろうし。

 そういう意味での安心感があるんだと思う。


「……ですか」

「そういうことなので、その、続きお願いします」


 もう一度背を向ける。




「わかりました。では、もう少し下の部分も、触りますね」



 下ですと!?


「ですけど、その……実はこーゆーの、初めてなんです」

「ああ、やっぱりえっちな経験なかったってこと?」

「……はい。すみません。幻滅しました?」

「まさか。むしろ嬉しいですよ。女神様が俺をはじめての相手に選んでくれたってことが」

「……ですか」

「このまま、本番までしちゃっても……」

「そ、そこまではしません。調子に……乗らないでください」

「……ですよねー」


 女神様の片手が、再びお腹に伸びた。

 指で円を描くように、おへその周りをさすさす、さすさす。

 しばらくそうされていると、左手が太ももに触れられた。そのまま、つつつ、と指先が登っていき、ああっ、いよいよ俺の聖剣に女神様のお手手が!



 という瞬間、



「晩御飯の準備できましたー」

 ドアが開いて、ルーシアさんが入ってきた。



 

 驚いてドアの方を見る俺と女神様。

 ぴょこぴょこ、狐のふさふさ尻尾が揺れている。


「あらあらあら?」

 ルーシアさんは口元に手を当てて、困った風に首をかしげた。


「禁断の兄妹プレイを邪魔してしまいましたね。次からはノックします。ごゆっくりー」


 あらぬ勘違いをしたまま、ルーシアさんが引っ込んだ。



「ち、違います! そんなんじゃありませんっ!」


 それを、女神様が慌てて追いかけていく。

 いいところだったのに!

 ドッと疲れが押し寄せた。

 俺は床の上に座り込み、思った。


「本物の彼女とだれの目も気にせずいちゃつきたい」


 女神様、妹じゃなくて彼女設定に変えてくれないかなぁ。





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