第三章 吸血鬼プレイ
09:私の下着を濡らしてから絞って、出てきた水を“女神汁”とか名付けて飲む気なんでしょう!
女神様はママさんと交渉を交わしたらしく、俺の稼ぎ分は日給として支払われることになった。
のだが、払われた銀貨は、どういうわけだか女神様の手にある。
理由を訊ねてみたら、
「財布の紐を握るのは女の役目なんです」
だってさ。
本当に夫婦かよ。
そう思うとちょっと嬉しいような、恥ずかしいような。
どうせこっちの世界じゃ漫画雑誌は買えないし、欲しいものもないから別にいいさ。
俺が遊べるえっちなお店もないからね!
❤❤H❤❤
そんなわけで、むかえる二日目。
「今日も私のために頑張ってください、お兄ちゃん♡」
女神様が笑顔で手をフリフリ、俺を見送ってくれる。
どこでルーシアさんが見ているかわからないから、部屋の外では兄妹設定を貫くつもりらしい。
ちなみに、女神様の足元には洗濯籠がある。
洗濯は、領内の流しで手洗いするらしい。
『家事担当が俺ってことは、洗濯担当も俺ってことですよね?』
『全部押し付けるのも悪いですし、洗濯くらい私がやりますよ』
『いやいや、結局料理とかしてないし。洗濯くらいはやらないと、ね?』
『やめてください。そう言って、私の下着にエロ同人みたいなことするんじゃないですか! 下着が赤ちゃん産んだらどうするんですか!』
『産まないよ!』
『私の下着を濡らしてから絞って、出てきた水を“女神汁”とか名付けて飲む気なんでしょう! サイテーの変態さんです!』
『その発想が出てくる女神様も変態だと思うけどね!』
とかいうやり取りの末、洗濯権を奪われた。
可愛い妹に見送ってもらえるシチュは鼻血モンだけど、これからまた怖ーい女の子にいじられるのかもしれないと思うと、憂鬱だなあ。
「っていかんいかん! 可愛い女の子にいじられるんだぞ! ご褒美じゃないかっ!」
ぼっち時代の俺が聞いたら、
『なにをそんな羨ましい環境で不幸ぶってるんだ! ラノベの主人公かよ死ねっ!』
という風に、嫉妬でおかしくなっていたことだろう。
そうだ。幸せな悩みじゃないか。
見た目は可愛い女神様と同居して、異世界でケモ耳娘やエルフっ娘などとえっちなプレイをしてお金を稼げるのだ。
最高すぎる。
うんうん、やるからには楽しむぞ!
脱童貞!
本番禁止だけど!
気合を入れて受付に向かう。
「お、おはようございます」
「はい、おはようございまーす」
ルーシアさんの笑顔が眩しい。
やっぱり、視線がちょっと下にいっちゃう。
フヒッ、今日もおっぱいぱい大きい。
ああ、ルーシアさんのおっぱいを後ろから支えるバイト、募集してないかなあ。
「……? トモマサさん、どこを見ているんですか?」
「いえ、どこも見てないです」
慌てて視線を横に逃した。
女神様とは話せるのに、他の女の子だと恥ずかしくなっちゃう。
女神様も美少女なのに。なんだろうか。あれも女神様パワーの効果なのか?
「今日はまだ使命がないので、休憩室で休んでいてくださーい」
だってさ。
考えてみれば、朝っぱらからえっちなお店に来るような人はそうそういないよな。
男女の力関係が逆転しているだけで、この世界の女の子がみーんなえっちというわけではないらしい。
これは、一昨日女神様から聞いた話。
来る奴は来るんだろうけど、この辺お店いっぱいあるし。
まあ気長に待つさ。
でもこの休憩室、ソファと木のテーブルしかないんだよなあ。
水道が通っていて、しかも水が綺麗な世界なので、水は気軽に飲めるしトイレにもいける。
だけど、暇をどうやって潰そう?
ひたすら女神様に風邪の看病される妄想をしていた。
俺の部屋の冷蔵庫が空っぽなのを見てさ、女神様は言うの。
『んもうっ、ちゃんと栄養をとらないから病気になるんですよ?』
『でも俺、料理出来ないからさ』
『ならこれから毎晩、私が作ります』
『いや、それは悪いっていうか』
『これは命令です。トモマサさんは、私に栄養管理されていればいいんです!』
ビシッ!
って、人さし指を突きつけられて。
そんなことを考えていると、あっという間に壁にかかっている時計が12時を示した。
「お昼でーす。パンとスープとサラダでーす。私の手作りなので味わって食べてくださーい」
ルーシアさんが休憩室に入ってきて、テーブルに料理を並べる。
「ごゆっくりー♪」
一緒には食べてくれないらしい。
っていうかさ、俺以外にも男いるんだよね?
見ないけどさ。
俺以外の男がどういう人なのか、少し興味がある。
実際に来られても、きまずいけど。
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