第58話 アンノウン
――ズドン。
空洞全体が、揺れた。
巨大な岩……いや、鉄のような金属が落ちてきたのだ。
それはランタンの灯りを受け、鈍色に光る。何故だかそれはとても不快に感じられ、鳥肌が立った。
金属の塊に開いた大きな穴から、うじゅうじゅとナメクジのようなモノが顔を覗かせ、徐々に伸びていった。
それは、カタツムリ。全長、人間の5倍以上ある巨大なカタツムリだった。
……こいつが……こいつが、アイアンマイマイか……。
アイアンマイマイの頭部から複数の角が伸びる。その内の一つが割れ、人間の眼球のようなものが現れた。それはギョロリと俺たちの方へと向いた。
ぬめぬめとした体表には、リビングデッドの頭部から出てきたあの芋虫のようなものが大量に蠢いていた。
俺は吐き気を覚え、寒気に震えた。
「――この大陸のモンスターではないな」
レインが言った。
俺もこのモンスターは知らなかった。まぁ、俺が持っていたモンスター図鑑は古いからなぁ。この大陸にはいないモンスターということは間違いなさそうだが。するとこれも、この大陸にはいないはずの“イレギュラー”モンスターか。
「《
アルテナの右目が緑色に光った。そしてその表情が一変する。
「……ステータス……アンノウン。こいつ、まさか……暗黒世界の、バケモノ」
アンノウン?
暗黒世界というと、中央大陸中心部の“黒い渦”のことか?
「相手が悪いわ。逃げた方がいい」
「え? でも……」
「……ちっ。出口も塞がれたか」
アルテナが舌打ちをした。背後には大量のリビングデッド、そして虫のようなモンスターたち。
逃げ道はない。戦って、切り抜けるのみだ。
俺は震える手に力を込めた。
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