夜歩く1

 旧家の家老の血筋の青年が、友人の作家に相談した。

「主家の娘が、夢遊病なんだ」

「アルムの山に帰れば治るんじゃないか?」

「ハイジかよ」

 都会の邸から、関係者一同で避暑に出掛けた田舎に、おじいさんやヨーゼフはいないが、チューリップハットにヨレヨレ袴の探偵には会う。

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