夏は夜

「夏は夜。月の頃は皿なり」

 夜にそぞろ歩きしていると、どこからか女の声が聞こえてきた。確か『枕草子』の一節だが、イントネーションがおかしい気がする。

「ただ一枚、二枚など数えるもをかし」

 何か変だぞ、と思ってそちらを見ると、井戸に着物姿の女が。をかし、じゃねぇ!

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