時そば

「……七、八、」

 一枚ずつ数えながら蕎麦の代金を払っていた男が、店主に訊いた。

「今何時だい?」

「へぇ九つで」

「十、十一」

 そのまま続けようとすると、いつの間にか、手にカウンタを持った人が現れて、双眼鏡でこちらを見て数えており、(違う)という風に首を横に振った。

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