猫の裁判

「被告が箱を開ける直前まで、中の猫は半死半生だった。それは認めるな?」

「はい」

 猫の裁判長が問い、俺はうなずく。

「しかし被害者は、死体で発見された。被告が箱を開けて中を見た為に、状態が〝死〟に確定したのだ。つまり、被告が被害者を殺害した」

「ちょ、ちょっと待て」

 狼狽ろうばいする俺。

「俺は箱を開けただけだ。悪いのは半死半生にした奴だろ」

「被告は開ければ1/2の確率で死ぬと知っており、未必の故意だ。よって有罪。前期の成績は不可とす」

「そんなぁ!」

 ……という悪夢で、勉強中の居眠りから目覚めた。明日は量子力学のテスト。シュレーディンガー方程式怖い。

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