我の名は、⑤

「ふ~ん。香ちゃんの中に異世界で勇者だったカイくんとカイくんとはまた別の異世界で僧侶だったサーちゃんの魂が別の人格としてね~ あ! まだ表に出てきていない人格もあるんだっけ?」


「カイくん!?


サーちゃん!?」


「香ちゃんが驚いているだけなのに別人が驚いているみたいに表情が違う。って、別人なんだよね~ 今驚いていたのがカイくんとサーちゃんだよね~? 縫針夏海です。よろしく~」


「クドルフ・カインだ。


スレイヤ・サーヤです」


 もう少し驚くかと思ったのだが、夏海はとても冷静に右手の姉ちゃんカインと左手の姉ちゃんサーヤさんと同時に握手を交わしていた。


「ねぇ、明日夢は今、ウチがあまり驚いていることに驚いているでしょ~」


「まぁ、うん。この状況を受け入れて生活している僕が言えたことでは無いけれど、よくこの話を受け入れられるね」


「明日夢や他の人だったら驚くし受け入れられないと思うけど~香ちゃんだから」


「? どういうこと?」


 何か含みのある言い方をする夏海に僕がそう尋ねると、夏海はにやにや笑いながら、


「別に~ 深い意味は無いよ~」


 と、はぐらかすように言った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る