さまよう闘士③

「うん。やっぱり何度見ても居ないよ」


 僕がそう言い切ると、サーヤさんが指を指していた電柱の方からピチャ、ピチャと足音のようなものが聞こえて来た。


「姉ちゃん、電柱の所にいる人ってもしかして僕らの方に歩いて来ている?」


 僕の問いかけに姉ちゃんは声を出さずにコクンと頷いた。


「おいおい、こっちに来るぞ。サーヤ、蘇生魔法かけてやれ。霊なら成仏するだろ?


カインくんの世界の蘇生魔法なら出来るかもしれないけど、わたしの世界の魔法は霊となった魂の入っていた身体が無いと。


一か八かでやってみろ!」


 異世界で旅人をしていた2人なら幽霊程度は大丈夫だろうと勝手に思っていたのだが、2人のいた世界もこの世界のように幽霊が当たり前に見えない世界だったのかもしれない。


「もぉ、仕方ないなぁ。イケイケドンドンで行くよ。死者の魂よ、あるべき器に戻りたまえ」


 この4人の中では一番上のお姉さんなのだというサーヤさんは狼狽えながらも蘇生魔法を唱えて、僕の目には映らない幽霊を成仏させようとした。


 すると、突如姉ちゃんのスカートのポケットが輝き出して見覚えのある光の柱が出現した。


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