明日は夏まつり⑤

「明日夢くんはもう夏海ちゃんからの手紙を読んだかな?


我が半身は夏海に対する悪しき感情を失った。心配する必要はないだろう。


だな。でも、手紙を読んじまって良かったのか?」


 夏海からあの手紙を渡された時、


「気になるなら読んでもいいよ~ でもウチのいないところでね」


 夏海は恥じらいを隠すように無理に笑いながらそう言っていたので明日夢に渡す直前に俺たち三人で読ませてもらった。


 当たり前だが、明日香に宛てられてはいないその手紙には明日香と話していた時とは異なる雰囲気の夏海が居た。


「しかし、あの手紙を読んでいなければ我が半身に手紙を渡すことは出来ず我が半身と夏海の間にまた深い溝が生まれるところだっただろう。


そうだね。


そういえば、手紙を読んでいて気になる所があったのだが。


そうそう、夏まつりがどうのこうのって所」


 俺たちが見ることを前提とした文章では無いのだろうが、手紙には『明日は夏まつり。そう、夏まつりだよ』と明日夢に何かを悟らせるような書き方になっていた。


「この地域の夏まつりは毎年同じ日に行われている。夏まつりは二人にとっていや、我も含めた三人にとって忘れられない日となっている」


 いつもと変わらぬ口調でそういう明日香だったが、その声色は少し悲しそうだった。




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