転入生N②

「初めまして。縫針夏海ぬいばりなつみです」


 初めましてと彼女はクラスメイトに向けて言っていたが、僕と姉ちゃんは縫針夏海と言う少女を知っていた。


「……夏海」


「夏海ちゃん!」


こうちゃんと……明日夢。久し振り~」


 転入生の縫針夏海と言う少女は僕と姉ちゃんにとって……幼馴染と言える存在だった。


「何? 明日姉弟あすきょうだいの知り合いなの?」


「えっと、その」


 ある理由によって担任の返答に少し迷っていると、夏海……縫針が答えた。


「香ちゃんと明日夢は幼稚園の時からの幼馴染で~す」


「ほ~う。そうか、そうか。じゃあ、明日姉弟に縫針の校内案内を任せるわ」


「えっ!」


「何だ? 幼馴染ならそれくらいの事をしてあげても良いだろう?」


「はい、わかりました」


 姉ちゃんだけで十分な気もするのだが、何故だか僕まで夏海もとい縫針に校内を案内しなくてはならなくなってしまった。



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