姉ちゃんのゆかいな仲間達③



カインの圧力に負けを認めた僕は暗黒世界の扉の封印とやらについて行くことになってしまった。


「ここに暗黒世界の扉があるの?」


「うむ」


「あぁ」


「いかにも」


 三人の中二病重傷者がそれぞれそう答えた。


「このような所で時間を無駄には出来ない。では、行こうか」


 姉ちゃんはゆかいな仲間達を引き連れて暗黒世界の扉を封印するためにイーサーの兄ちゃんが働いているリサイクルショップに入店した。


「なるほど」


 姉ちゃんが買ってきてカインと出会うきっかけの一部と言っても過言ではない魔法陣柄のカーペットの入手先はどうやらこの店であったようで、この店には姉ちゃんの部屋に敷かれている趣味が良いとは言えないカーペットの他にも姉ちゃんが好みそうな家具ばかりが売られていた。


「あのカーペットって赤以外にも青や緑、黄色まであるんだ」


「我が城にはここにある全魔法陣が揃っている」


「という事は、ここに来た目的はこのカーペットじゃないの?」


「もちろん、我らが目的はこれよ!」


 姉ちゃんがそう言って指を指したのは比喩ではない正真正銘の扉だった。


「幸いにもまだ封印は解かれていないようだな。ところで、我が半身よ。我が体はこの扉と共鳴し、この扉を欲している」


 中二病重傷者三人が暗黒世界の扉と称するだけあってその扉は姉ちゃんが好きそうなデザインをしていたが、偉そうに腕を組んでいる姉ちゃんに対して僕が言える言葉は一つしかなかった。


「確かにこの扉は格好良い。だけどこの扉は我が家にはノーサンキューだよ」


「まぁ、当たり前だな」


 カインがぼそりと呟くと、姉ちゃんはがくりと膝を落として、


異世界人マギレの力が足りなかったか」


 と意味なく悔んでいた。


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