第七羽 聖霊使いの示す羽
二人は顔を見合せたままだった。
声から察するに、若い女性なのかなとは思っていたけど、これじゃあまるで...
「幼女 」
ボソッとミーシャはカムラに言った。
それを聞いてか知らずか、
その女の子は自ら説明をしだした。
「お前ら今失礼なこと思っただろ。 例えば私の容姿を見て幼女とか 」
「いや、 流石に幼女とは思ってなかったけど 」
すかさずカムラがフォローに回る。
「けど何? 」
それを素早くその女の子は聞き返す。
「思っていた以上に年齢が若いなって 」
「それ、 幼女と言ってるのと同じだからな 」
すると横からミーシャが口をだす。
—―いやいやお前が元凶じゃねーか。
「まぁそこら辺のことについても街に入ってからに話そう 」
女の子は話を切って真っ直ぐ前を歩き始め、
ほんの五分くらい歩いただろうか。
街の入り口が視界に入ってきた。
「ようこそお二方。 ここが商業の街シャルティさ 」
二人はまたも顔を見合せた。
何故ここがこんな風になっているのかと、 そう思ったからだ。
ひとまずカムラとミーシャは女の子の案内に従って歩いた。
「到着っと! さぁ入ってー 」
見るからに普通の家だった、
というよりは小さな研究所?みたいな所か。
言われるがままに二人は家の中へと足を踏み入れた。
「あの、 ここは一体 」
カムラの投げ掛けた質問に女の子は
私の家であり研究所だと説明した。
「まぁとりあえず軽く腰かけてよ 」
二人がが座椅子に座ったのを確認すると女の子は軽く自己紹介をし始めた。
「初めまして。 お二人さん。 私の名前は リリア=ルベット 」
「初めましてリリアさん。 俺らは・・・ 」
「知ってるよ。 カムラ君とミーシャちゃんだよね? 」
「あれ? 俺ら名前言いましたっけ? 」
「いや? 言ってないよ? でも分かる、 さて何故でしょう? 」
「何故でしょうと言われても・・・」
カムラには皆目見当もつかなかった。
ミーシャを見ると彼女は既に警戒モードにはいってる。
—―いや、 確かにこの女の子怪しいんだけども。
「はい。 時間切れー。 正解は、 君らがここに来る三十分前くらいだったかな?
マーブルって人が訪ねてきて、 君らのことを教えてくれたんだよ 」
――あの人かー!!
「後、 君らの実力も見てやってくれって 」
――面倒臭そうにしてるくせに、こういうことするなよなー!
「彼女は相当強いね。 私から見ても断然にね。 なんせ森の迷宮化が意味無いんだもの。 どこからが術か分かってたみたいに 」
二人は耳を疑った。 二人にとってあの森は気づいたら罠にかかっていたという感じで術の前兆なんて全く分からなかったのだ。それを術に入る前に見破るなんて、
あの人は一体何者なのだと。
「さっきから思ってたんだけどさ 」
カムラの考えを
「あんたって結局何歳なの? 」
――なっ!? 女性にとってデリケートな部分をさらっと言いやがった。
いや実際俺も気になってたんだが恐くて聞けないだろ普通。
「私の年齢が知りたいの? 」
「年齢を聞いてるんだってば!見た目私とさほど身長が変わらないわけだし 」
――そう、ミーシャの身長が145センチと小柄だがそれと
同じくらいの身長なのだ。
「なるほどー。 先にミーシャは
「えっ?・・・ 十四だけど 」
――ミーシャってまだ十四だったのか。
初めて知った。確かに顔は可愛い部類に入るんだろうけど、俺と四つ違いか。
「カムラ、 何こっち見てるのさ 」
「あぁ、 悪い。 ついな 」
「欲情でもしたの? 」
「するか!! 」
全くリリアの思いがけない不意打ちを食らって思わず突っ込んでしまった。
「うげぇ。 そんな目で見てたのー? うわー引くわー。 最低、
人間としてクズなんだけど。 まじで人間嫌い 」
――クズ呼ばわりきたか、 リリアの奴め後で覚えてろよ。
リリアを睨み付けると、彼女は軽く舌を出してゴメンという風にこちらを見てた。
「肝心のリリアの年齢だけどまさかミーシャと同じ年齢って訳でもないんだろ?」
「同じだよ? 」
「嘘だろ!? 」
「嘘だよ? カムラ君て結構面白いねー 」
「このやろうー。 」
「カムラもそろそろ冗談分かりなって。 でリリア、 あんたの本当の年齢は。 」
「そうだね。 ミーシャちゃんの倍ってところかな? 」
「倍?! ふん、 もう騙されないぞ 」
「残念ながら本当なんだよねー。 私はこれでも二十八だよ? 」
――おかしすぎる。彼女の見た目は精々十代かそこらだ。
見た目と年齢が合わなさすぎる。
いや彼女が童顔のせいってのもあるんだろうが、
それを差し引いても二十代後半には見えない。
「どうやら二人共疑ってるねー? 」
「いや、疑ってるというか見た目と年齢が合致しないというか・・・ 」
「ふむ。この見た目か、まぁそうだよねー。 私若く見られるから 」
――若く見えすぎだ!
「いや、 ありえないから。 私は成長期だからあれだとして、 二十代でその外見。
まぁ身長は人それぞれだから抜きにしたとしても幼すぎるから 」
—―全くミーシャはさっきから核心に至る事をズバズバと。
何気にコイツ凄いな。
「幼い...か。 じゃあここからは真面目な話をしようか。
二人共、 聞く覚悟はあるかい? 」
リリアの口調が真剣になると同時に空気が重くなるのを二人は感じ始めた。
さっきまでの調子の良い明るい声では無く、
彼女は落ち着いた静かな口調で話し始めた。
「まずはそうだね。 この身体の事から話した方が早いかもね。
これはね呪いなんだよ 」
「呪いだと? 」
「そう。 君達あの森から来たってことは、
アルテークから来たんだろ? 堕天使に滅ぼされた 」
「アルテークのこと知ってるのか? 」
「少しはね。 滅ぼされたのも知ってるし女、 子供が連れて行かれたのもね 」
「待て、アルテークの事とリリアの事と何の関係がある」
「そうだよ! 街の事とあんたの呪いの事関係ないじゃんか 」
「確かに街の事と呪いは関係無いね。
でも連れて行かれた人達には関係あると言ったら」
「・・・ ちょっと待て。 いや、流石にそれは 」
「何が待てなのさカムラ 」
「いいかミーシャ、 もし関係あるとするならば連れて行かれた人にも最悪同じ
呪いをかけられるということになる。 リリアの話し方はそんな感じだった 」
「そう。 多分。 きっとそうなるだろうね 」
「でもさ、 呪いってその見た目だけでしょ? 」
――多分ミーシャの予想は大いに外れてる。
「いえ、 私はまだこの呪いについて具体的なことは話してませんよ 」
リリアが二人をゆっくりと見つめ、カムラは彼女に問いただす。
「・・・ その呪いについて詳しく教えてもらっていいか 」
「詳しくか。 長くなるよ? 」
「構わない。 堕天使の情報に繋がるのなら聞くに越したことはない。
それに呪いは避けたくてもどのみち避けられない道だ 」
「私も。 少しでも堕天使の情報が欲しいし 」
「分かったよ。 けど予想以上だから覚悟しとてね? 」
そして二人はリリアの話を呪いについて堕天使について聞くことになる。
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