神様の狂想曲
みふね夜霞
春の出会い
零
相違
「世界をつくりなおさなきゃ」
「人と、話し合わなきゃ」
「今のままじゃ人はダメになる。世の中全てダメになる」
「個人の意志を尊重するの。ちゃんと向き合うの」
「一人一人の交流をなくせば、世界の均衡は守られる。争いはなくなる」
「一人一人の心を理解すれば、世界の均衡は守られる。笑顔で一杯になる」
「だから、世界を滅ぼす。人が嫌いだ」
「だから、世界を守るの。人を愛しているから」
「全員が耳を貸してくれるわけがない」
「受け入れる人がいる。それが大事」
「個人なんてなくなれば平和なんだ」
「個人がいるから平和なの」
「言葉なんて無意味だ」
「言葉だけじゃないんだよ。人って」
「話し合ったってダメなんだよ。どうせみんな忘れてく。滅ぼしてつくりなおすんだよ」
「つくりなおしたって同じだよ。心がなければ世界は終わっちゃう」
「だから――」
「だから――」
終わりから
空は赤黒く。
見渡せばそこはガレキの山。
崩壊した建物の残骸。
何かの広告の大きな看板が倒れてあり、広告の人物の笑顔が不気味に見える。
アスファルトは盛り上がっていたり、割れていたり。
電線が千切れ、そこから燃え盛る炎。
ガレキ。炎。ガレキ。炎――
そんな中で弾む声が。
響く声がある。
「やっと……やっと一緒だね!」
とても嬉しそうに響く。
「ずっと一緒にいたかった。この日を待ってた」
「うん、私も! 二人きりでお話したかった。遊びたかった!」
ひどく、楽しそうに響き続ける笑い声。
一般的に、普通に見れば"悲しい"と表現できる景色の中ではしゃぐ人影。
声はとても幼く、お互いに手をとって純粋に走り回っている。
この光景はいずれ訪れる。
訪れてしまう終わりの景色。
悲しみ、虚しさで終わってしまった世界。
終わらせた世界
「イヤァ、全く。人って難しいですネ★」
そう言って終わらせた。
絶望した者はこれからを考える。
これからを記す。
自分のつくり上げる理想の「幸せな世界」を記す。
「こーんな未来しかないんですヨ★ ムリなものはムリなんデス★」
誰かにそう言って踏みつける。笑って踏みつける。
「ぐっ……」というくるしげな声とともに果実を踏みつけたような瑞々しい音が聞こえる。
「ハァ……。だってコレは、この物語はオレが決めた
可笑しくて堪らないと言うように口元を歪め、恐ろしく鋭利な歯をむき出して「キシシッ」と笑う。嗤う。
ソレは言った。
自分が決めたと。
こんな未来しか、「
この物語は、終わりを回避する物語。
足掻く物語。
藻掻く物語。
一人と一人の絆で彩る物語。
独りでは、決して成り立ちはしない。
そんな物語の始まりは、出会いから。
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