第5話 新入(決して侵入ではない)
アイスクリーム好きな美魔女(本人談)の策略により、女にされ、超絶進学校・学苑リュケイオンに究極的に行くことになった俺、トーマ。
男に戻るため、アームズとなった飼いドラゴンのミーンを復活させるため、俺はTシャツとジーパンという、ギリギリ男女平等な格好で登校(決して投降ではない)したところ、守衛に開口一番こういわれた。
「きみ、かわいいね?私服ってことは入学式に来た家族の方?お茶しない?」
一回なら、まだよかった。だが道行く男(それも性欲の強そうな男)にやたらめっぽう声をかけられる。
コロニーを歩いているときから随分と目線は感じたが、おおむねダサい恰好の女が歩いているな、とみられていると思っていた。かれこれ15人からナンパされた。
駄々広い苑内さらに目の前から、三人の男が向かってくる。なんかくすぶってる。
「オオウイ、ヤラセロヨ、テメー」
オオ ウイヤラ セロヨ テメー?
大 宇井やら 世路よ 低迷?
なんのこっちゃ?
訳も分からず頭にはてなマークを浮かべていると、男のうちの一人が二の腕を掴んできた。
「って、はなせ!」
俺はその手をはがそうとする。が、力が入らない!
牧場運営で鍛えたこの腕なら、男一人剥がすのもわけないはず・・・。
そうだ俺今は女だ!思うように力が入らない。
「コッチコイヨ」
さらにもう一人俺の手を掴んでくる。実際ピンチ!
「だ、誰か!助けて!」
高い声で助けを求める。が、誰もがやれやれといった調子でマトモに見てくれない。
うう、ひどいやひどいや!無関心の暴力め!
と、そこに凛とした靴の音が後ろから響き近づいてくる。
「やめてあげて!その子、困ってます!」
助かった!
振り返ると、そこには制服姿のあの美魔女(本人談)がいた。コノヤロ!
いや、まてあの女はフードをかぶっていた。なんで似てるってわかるんだ?
「コイツ、じーぱんハイテル。コレ、『しタイ』のあぴーる。
オレラしタイ。コノ女モしタイ。ダカラすル」
何が”シたい”のか怖くて聞けないが、案外論理的な思考の持ち主だった。どうも都会では服によるアピールが高等複雑化していらしい。俺の田舎では皆普通にはいてるのに・・・怖ッ!都会怖ッ!!
「この子は新入生!今日はきっと初めてのことだらけで混乱してるだけ・・・です!」
雄々しくも制服姿の美魔女(審議中)がかばってくれる。エエ子・・・。
「ウルセエ。イイカラ、オレラしタインダ!!さセロ!!」
と、男三人が猛り狂う!やっぱり獣!さらにピンチ!
「しょうがない、ここでコレは使いたくなかったけど・・・」
すうううと息を吸い、美魔女(仮)が大きい声で言った。
「円世の静憐:エンゼル・セイレーン!
”””沈まれ、籠念生!!”””」
シンとした音とともに、目の前の男たちが活動を停止する。
「さ、行こ、行こ」
グイとTシャツの袖を引っ張られ、美魔女(仮)が俺を連れて行ってくれる。
「た、助かったよ。
今のは?」
「あれ知らないの?アームズクリーチャーの円世の天輪:エンゼル・リングだよ?」
あ!そっかここはアームズクリーチャーが当たり前の場所!
むしろ知らなくて怪しい!からって、つき返したりしないよね・・・?
「そんな不安な顔しないで!冗談よ冗談だよ。
ノアのアームズは少し希少なの。まずみんなわかんない。あ、ノアだよ。
キミは?」
なんかこう、髪が長く女子っぽい子に”キミ”とか、幼い少年っぽい言葉使われるとドキッとするよね。しかもオッドアイでミステリアスな雰囲気。
「俺、いや私は・・・トマコ」
「へー!よろしくね、トマコ!」
屈託のない笑顔で返すノア。この子が、あの悪魔のように取引する美魔女(本人談)であるわけがない。勘違いだろう、こんないい子が。この子、私(今やトマコ)が男だと知ったらどんなリアクションするんだろうな・・・。
俺たちは、先を急いだ。
さっきのシチュエーションで、ちょっと興奮したのは内緒だ。
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