第4話 よみがえった記憶

さすがに勉強だけでは気が滅入る。



ある時、むしゃくしゃして、庭の大木に正拳突きを食らわしてしまった。


「ドッゴーン」「メリメリ・・・」「ドッガーン」


大木が折れてしまい、渡り廊下を破壊してしまったのだ。



この時、親父にめちゃくちゃ怒られたのだが、「皇宮に閉じもめておくわけにもいくまい」という祖父の一言で、外出許可が出ることになった。



「伝え聞く初代様も、暴れん坊だったが、アシュ、お前も相当なものだな。まあ、外出に当たっては此れを持っていくがよい。」と言って、一振りの長剣と背負いカバンを貰った。


「剣の使い方はわかってるな。お前は俺達に内緒で近衛の館に出入りしていたことは百も承知だ。時々けが人が出るので、不思議がっていたが、お前の仕業だと聞いて驚いたぞ。どこで剣を習ったかはは聞くまい。あと、レムリアを連れていくがよい。「レムリアには治癒と防御のスキルを付与しておいたから、いざというときに役に立つだろう。取り合えず、何事も経験してみる事だな。」と祖父。



「さて、どうしたものか・・」外に行く限りは万全にしたいのである。


そこで、俺はレムリアに、さらなる魔法付与を考えたのだが、後々の事も考え、レムリアとレミアには前世の真実を話すことにした。



「若様、お呼びですか?」と、レミア。


「うん、ちょっと重大なお話が有るんだ」と俺。


すでに、レムリアは重大な話が有ると聞いていたので、驚かなかった。


「話す前に、二人には前世の記憶をよみがえらせる必要があるんだ。」


「「前世の記憶?」」


「うん、僕にとっても、二人にとっても、とっても大切な記憶」


「大切な」と聞かされ、二人とも目を見張る。


「とりあえず始めるよ」


「「はい」」


「メモリ・リヴァイヴ!」(よみがえる記憶)と言って俺は二人に魔法をかけた。


「・・・・」


暫くして、二人の目から涙が溢れてきた。そして、二人とも俺に抱きついたのだ。


「「あなた」」と言って・・


「私が、昔、泣きじゃくっていたのはこの記憶のせいだったのね」とレムリア。


「母上から聞いた俺が生まれる前の話だね」と俺。


「はい」


「小さいころから、『お姉さま』と呼んでいましたが、前世では本当にお姉さまだったのですね」とレミア。


「はい」


「そして、二人で愛した人が此処に・・」とアリエス。


俺達3人は暫く泣いていた。


三人とも、初代ムルマーシュ皇王と皇妃、第2皇妃の記憶がよみがえっていたのだ。



二人には、魔力変換能力、魔力蓄積能力、魔力放出能力を付与することにした。


「クリエイトスキル アビリティ・マジカルパワー・コンバーション・インプロブメント」


「クリエイトスキル アビリティ・マジカルパワー・アキュムレーション・インプロブメント」


「クリエイトスキル マジカルパワー・リリーシングアビリティ・インプロブメント」



あとは、記憶をよみがえらせたので、昔使っていた魔法とスキルはほとんど使える筈だ。


そして俺は・・「レミア、レムリアは既に俺との結婚が決まっているが、お前も同時に妻に迎えたい。良いか?」とプロポーズした。


「はい」とレミア。


あとは、爺さんの一言さえあれば決まりだな・・


そして俺は、その夜爺さんの夢枕に立った。初代皇王の姿で。



使った魔法は、ドリームコントロール。


その朝、父母にレミアも初代皇王の意として俺の嫁にすることが告げられた。


最も、夢の中に立ったら、爺さんが最初から俺の嫁にする気ではいたとか。だからレミアの真の姿は俺には見えるようにしていたのだとか。


俺が16歳になると同時に2人と結婚することになったのだ。


アリエスは11歳になっているはずなので、その頃には嫁ぎ先が決まっているはずだから、嫁ぎ先からメイドを派遣してもらい専属メイドにする予定だとか。



この2人の記憶をよみがえらせた理由は、レムリアの魔法を強化する必要があったからだ。


しかし、レミアを後からと言うわけにもいかない。のちに2人の間に確執を作らないためにも、俺が二人を嫁にするという宣言がどうしても必要だったのだ。


後に、これがアームスと確執を産む結果にはなってしまうのだが・・



レムリアの解放された魔法は、爺様が付けた魔法よりはるかに強力だ。当然、レミアも同様に解放されている。


そこで、二人には魔法を見られたら、「初代様が夢枕に現れ、付与してくれた」と口裏を合わすことにした。


この2人、魔法だけでなく、料理裁縫など家事の上級スキルも解放されてしまったので、メイドとしてもいきなり有能な状態になってしまった。


アームスのメイド、ライエにとっては、能力の差が出来てしまったのだ。



あとは、爺さんに頼み込んで、レムリアと、レミア用のスピアを作ってもらった。


レミアの分は護身用だ。


まあ、8歳だとギルド登録もできないので、俺とレムリアで、森に入って狩りをする。


初日は、小手調べという事で、魔法を使わずに大猪を3頭、ウサギを5頭狩って終わりにした。


カバンには時空泡魔法を付与しているのでいくらでも入った。


このカバンを見て驚いたのは親父だったが、皇族の血を引いているものは容易につくれるとか。



「暴れ猪を一撃で屠ったから、期待はしていたが・・」と爺さん


「今晩も、パーティね」と母。


「はあぁ・・俺の初日より成績いいじゃないか」と親父。


「お館様、肉を捌く職人を雇ってくださいまし」とメイド長。



今晩は宴会になった。


レミアはと言うと・・最近、レムリアと2回に1回は入浴時入れ替わっている。


レムリア曰く、「俺の独占はよくない」とのこと。


一方、レムリアと入浴するようになったアリエスは、「お姉ちゃんと入浴だ」とはしゃいでいるらしい。


母曰く、「お義姉ちゃんの独占はよくない」とのこと。


レミア曰く、「義妹の独占はよくない」とのことだった。

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