Dimension Story:序
ABY 1252695
プロローグ 始まりのストーリー
――あれ? 僕はいったい?
僕は何が起こったのかわからずに困惑していた。
まず、視界に写ってきた物は自分の立っている地面だった。その地面は青く、平らで石一つ無い場所だった。
どこに立っているのか分からなかった。僕はそれを確認しようと体を動かそうとしたが、その体は動かない。
理解出来ずに、僕は自分の足を見る。すると、すぐにその理由がわかった。
自分の足はそこには無かったから。足だけではなく手や頭、胴すらなかった。だが、それに驚くことはできなかった。
――あるのが感覚と視界だけだからか? 脳がないから驚かないのだろうか?
……結局、何故驚かないかはよくわからない。脳がないならこんなに考えることはできない。じゃあ何故? なぜ――っ
そのとき、ある物が視界に映った。と言うより最初からそのある物はあったが脳がそれに気づかなかったのだ。
そのある物せいで感情が麻痺していたのかも知れない。しかし、その麻痺もいずれとける。
停止しない時間は脳内の処理を迅速に促す。
「――――――ッッ!!!!」
言葉にならない悲鳴を上げた。理由は簡単
ソコニシタイガアッタカラ
その死体はとても複雑怪奇な死に方をしていた。腹が裂けて内側の臓器がぶちまけられていたのだ。更に
――人間の三分の一の血が出ると死ぬって聞いた事があるけどこれは三分の一を越えてるな。
もうダメだ、これは助けられない。
あること気づいた、
――何故僕が死んでるんだ!? まさか殺された!?
この死に方からして事故か猟奇殺人。なら死んでる今の僕はいったいなんなんだ!?
戦慄が更なる理解不能を生み出す。
そして僕は目の前に一人の少女がいることに気がついた。
「きっ、君が僕を殺したの?」
恐怖と困惑で脳をフル回転させながら目の前にいる黄色の髪のミディアムヘアで白いワンピースを着た十二歳よりもっと背の小さく可愛らしい、だが白のワンピースから手まで、僕の血で赤く濡れていて顔に少し血がついている少女に話しかけた。
「まぁ、そんな感じかな。これは私が殺したと同じ」
少女は悲しげな顔で答えた。
「な、何で君は僕を殺したの?」
恐怖に身を潜めてそれを聞いてみた。そうすると少女は苦笑しながら言った。
「ふふふっ、それを殺した人に聞くの?」
「で、でも!」
それでも殺された理由が分からない、何か悪いことをしたのだろうか。僕は恐怖で潰れた声を振り絞って反論しようと思った。しかし何にも思い浮かばない。
「あなたは真面目くんなんだね」
少女はすべてを見透かしているような眼差しで静かに笑いながら言った、その蒲公英色の目は心の凝りに突き刺さる。
――僕は真面目ではない。家から外に出なく皆に迷惑をかけ続けた人生だった。……だった?
僕は心の小さな矛盾に気づく。しかし、その矛盾はすぐに忘れてしまう。それはとても忘れてはいけない気がしたが……。ん? それって何だ?
そして少女は無表情に言う。
「それで? 知ったとしてあなたになにができるの? あなたは今、体を動かせない状態なんだよ? でも、もしあなたが体を今動かせたら私を殺す? …………出来ないよねあなたもラスト君と同じで優しいからね」
「…………」
正論を突き立てられてぐうの音も出なかった。しかし僕はある疑問に気づいた。
あれ? 何かおかしくないか? 僕が死んでいるとしてどうして僕はこの少女と話せるのだろうか。
そもそも僕は何故喋れるのか?
ラストと呼ばれる人は今どうしてこの話題に出てきたのだろうか? その人は今何をしているのだろうか?
僕は訳の分からない疑問が沢山出てきて、脳を埋め尽くした。それでも、特に気になった疑問点が口に出ていた。それは一番最初に聞くべきものだったかもしれない。
「君は誰?」
「何故、僕の事を知ってるの? どっかで会ったことある?」
「私はこの世界の全てを知っているものと答えるべきかな」
少女は静かに答えた。
「もう一つの答えはこれから起こるあなたの
「……ストーリー?」
「そう。ストーリー あなたがこれから体験する未知の世界 そこには魔法や武器、様々な仲間達や敵に会う世界 君が退屈で恒久な平和があり続けると思っていた現実世界とは少し違う世界」
「…………」
「……ねぇー話聞いてるの?」
少女はまるで厨二病設定にありありの異世界系の話を語り出した。これって怖がる必要があるのだろうか?
勿論、そんな世界に行けたら凄いとおもうよ。そんな世界があるなら行ってみたい。
しかし、何故か頭に残った単語の事が忘れられなかった。
――ラスト? それは誰だろう。どこかで会ったことが…………いや会ったことも聞いたこともない、たぶん。この子の事面倒見てくれてる人かな? もしかしたら、もうアレと同じように……。
そんなこと考えながらある疑問にだとりついた。
「僕は何の意味をもってその世界に行くの?」
僕は「それから」と付け加えた。この時僕は最初の怖さは忘れずに、何をされるかわからないので、警戒しながら。
しかし、バカな僕には良い言葉は使えない。
「君は本当に僕を殺したの?」
そうすると少女は悲しげな声のトーンをさらに下げて
「その前者の方には自分の力で見つけてほしい」
「だってその為に作った≪
「もう一つは多分あなたには一生わからない。それはこの世界と同じで」
彼女は諦めたみたいに言っていた。そう。ここにはあるべきものがない。
海の上に立っているような真っ青な世界に澄み渡るような水平線、そこの空には白い雲等は一切無い。しかし、小さな星が沢山あり、それだけが僕の心を落ち着かせた。そして、一人の少女と、血まみれの僕の死体……。
多分僕はこの世界がいつになってもわからないだろう。そう思ったとき急に自分の視界が暗くなってきた。少女は「もう限界か」と答えた気がする。
僕はあぁもう終わってしまうのだなと思った。そうすると
「もう始まるね。私はこんなに喋るとは思わなかったよ。頑張ってね」
そして僕は盲目の世界に行き、脳機能の停止で何もわからなくなった。
その後少女は小さい声で呟いた。
「どう、して……こんな結果になるなんて、ラスト君。あなたもこんな結末を知っていたの?」
その声は僕にはには届かなかった。いや、今の僕が聞いてどう考えてもわからない。
ただの傍観者となってしまった
――そして僕、「火矢 タイガ」の
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