花をたずねて月日の移り変わりを楽しむ
むらた@異世界のトラックの助手席
万両
思い立って八瀬の神社を訪れた帰り道に、蓮華寺というお寺を見つけました。門は狭く、脇には万両がひょろりとあるという構えの、山の麓の小さなお寺で、少人数なら拝観しても良いという旨の張り紙がしてあるお寺です。入ってまずはお線香をあげて、夕日が落ちる前の冷えた畳に腰を下ろして、庭園の様子をぼんやりとながめはじめました。
そのときの記憶に残っているのは、廻遊式庭園の道に沿って背の高い万両が赤い実をぽつんぽつんとつけていたこと、それから岩場と池の周りを千両や十両が飾っていたこと。それから、薄暗いお堂の中で阿弥陀如来像が差し込む夕日で輝いていたこと。万両ってこんなに美しいのだなと心を打たれ、次第にあたりが暗くなっていくことを惜しく感じたことを思い出します。
下側の葉を落としながら成長していく万両は、細いながらにそのバランス感覚には驚きます。長い幹の先端に葉と実をつけて、欲張らない感じが良いです。背の低いものと背の高いものが隣り合ったりしては、絵画的なリズムができてまた美しい。苔の広がるお庭が身近にあったら、林床で小さく佇む姿とか良いのですけどね、苔のお庭はまた夢の話です。
京都へ越してきたときに実家から小さな万両の苗をひとつ連れてきたわけですが、いつか自分のお庭が持てるといいなと密かに楽しみにしています。
花をたずねて月日の移り変わりを楽しむ むらた@異世界のトラックの助手席 @murata_s
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。花をたずねて月日の移り変わりを楽しむの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
コロナ体験談最新/鴉
★18 エッセイ・ノンフィクション 連載中 10話
雨添れいの被らない日常!②最新/雨添れい
★24 エッセイ・ノンフィクション 連載中 98話
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます