7.Nitrogen 【窒素】


 あの、こんにちは、7番です。

 ろっ、6番さんに大役を任されてしましました。どうしましょう。


 えっと……ご、5番さん、これからも、頑張って硬い鉱物を作れるよう、がんばりましょうね……っ。

 こんな感じ、でしょうか。5番さんが少しでも元気になってくれたら、嬉しいです。


 あらためまして、……その、目には見えませんが、わたしはいつもみなさんのまわりにいるんですよ。

 みなさんが毎日吸ったり吐いたりしている空気の成分、78%以上は私なんですから。のこりの22%のほとんどは、仲間たちの話によく出てくる8番さんです。8番さんが気が短いのは事実なので仕方ないとして、すっごく頑張り屋さんで優しいところもあるので、どうか温かい目で見守って下さいね……なんて、そんなこと私がお願いしなくても生き物にとって8番さんはとっても大切な存在でした。私なんかがあれこれ言ってしまって、余計なお世話ですよね。ほんとうにごめんなさい。


 空気中に含まれていても、無色透明で安定している私は、呼吸で体に取りこんだところで何も仕事はできません。なにせ不活性ですから、仕方ないですよね。私が少しでもニンゲンに貢献できているとしたら、1番さんの力を借りて、あるいはさらに8番さんの力を借りて、肥料として使われたときだと思います。じつは、私には植物をちょっぴり大きく育てる力があるんです。こんなことですけど、少しでもお役にたてていると嬉しいな……。だけど私ばかりをあげすぎると葉っぱばっかり大きくなって、果実や花が控えめになってしまうので、どうか加減には気を付けて下さいね。


 そうそう、気体の状態の私はあまり面白くありませんけど、ものすごく冷やしていって液体になると、極低温の冷却液として使われることがよくあります。なにしろ、量だけはたくさんありますから、私。比較的扱いやすいのが取り柄ですから、私。冷却液となった私は、生物のサンプルを保存のために急速に冷やしたり、バナナで釘が打てるか実験したりするときに重宝されています。


 ……重宝、されてますよね?

 ちなみに私の沸点は-196度。たいていのものなら凍らせてみせますから、よかったらいちど試してみてください。薔薇の花びらをパリパリっと砕くのは、きっと楽しいと思います!


 あのう、あまり面白いお話ができなくてごめんなさい。退屈されてないと良いのですけど。でも大丈夫、私の次の8番さんはとっても刺激的ですもの、きっと満足していただけると思います。



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