Fragment-memory of future-

黒乃

プロローグ

とある女神たちの嘆き

 世界が戦争で何度目かの終わりを告げた。

 女神たちは枯れることのない世界の泉から、その全てを見通していた。


 今回の戦いの勝利者は、世界に災厄を振りまくかもしれない。

 勝利者は自分たちという存在を高らかに、力をもって知らしめるだろう。

 それがどれほど愚かなことかも知らずに。


 ここから世界は、また歴史を繰り返す。

 やがて再び、争いが生まれる。


 戦いの果てに生まれた平和は幻である。

 勝利者たちやその子孫たちは、そのことに気付けるだろうか。

 もしかしたら、一生のうちで気付ける者はいないかもしれない。


 それでも世界は巡り、時は流れていく。

 出来るのはこうして祈りを捧げ、この世界を見守ることだけ。


 これは、女神達がそう呟いてから五百年の時間が経った世界の物語。

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