とある普通の一日がスペシャルになるなんて
温媹マユ
第1話 二人の朝
「おおっ」
パラパラ
「これ、すげー」
パラパラ
「いーねー、最高」
パラパラ
「ちょっと、そこの三人、何見てるのよ!」
(げ、委員長だ)
(やべ、没収されるぞ)
(隠せ隠せ!)
「あっ」
「えっ」
「おっ」
バサッ
「またこんな雑誌見て。ひ、卑猥だわ! 没収よ!」
(いいんちょの顔真っ赤! ちょっとかわいいかも)
「ちょっと返せよ! このビキニ姿のどこが卑猥なんだよ!」
バサバサ
「そうだそうだ、これは美だ」
「白い砂浜、白い肌、白いビキニ、この三点セットでもうおかずはいらない!」
「何言ってるのよ! こんなに大きいのが卑猥なの! この小さい三角も卑猥なのよ!」
じー
じー
じー
「な、ななな、何見てるのよ! 私は普通よ!」
バサバサバサ
ビリッ
「あっ」
「えっ」
「うそっ」
「やだ」
「あ、あなたたちが、そう、あなたたちが無理矢理とろうとするからこうなったんだからね!」
ビシッ
(そんなに無い胸を張ってまで、威張ることないのにさ……)
「いま、何かよからぬことを考えたでしょ?」
ギロ
「あ、え、いや、何でも無いですよ、ははははは」
(ほかのものまで没収されたらたまらないぞ)
(隠せ、隠せ)
ゴソゴソゴソ
ギロ
「今、後ろに隠したの何? 見せなさい!」
グイッ
「あっ」
(見つかっちゃった……)
(終わった……)
(ああっ、女神様……)
「またゲーム機持ってきて。 これ何台目? それから……ん、これは何?」
ガチャガチャ
「そ、それは……」
「あ、えっと、委員長にあげようかと思って……」
「そうそう、風紀委員にはこういうものも必要だと思って、そ、そう、プレゼント」
(ええい、もうどうにでもなれ!)
(持ってけ泥棒!)
「この手錠で、常習犯の空峰を逮捕してやってくれ」
「そうだそうだ、空峰がすべて悪い」
(おまえら何を言うか!)
「ふふふ、面白いこと言うじゃない、空峰くん、現行犯逮捕!」
ガチャ
(マジで!)
ムカッ
「いいんちょこそ逮捕してやる!」
ガチャ
(はっ、何するのよ!)
ムカムカ プンプン
「ふふふ、やったわね、空峰くん。この風紀委員長を逮捕するなんていい度胸ね! 後でお仕置きよ! 私が直々に手を下してあげるから、喜びなさい!」
ガチャガチャ
(委員長の目がマジだ)
「い、いや、それだけは勘弁」
ガチャガチャガチャ
「な、なんで外れない?」
「これ、どうやって外すの?」
ガチャガチャ
「あ、それ、鍵がないと外せないから」
「えっ」
「マジで」
「ちょっと待って、鞄にあるはず……」
ゴソゴソゴソ
(やべ、家に忘れてきた……)
「委員長、空峰、ごめん、鍵家に忘れたかも……」
がーん
「大丈夫、家にあるから。放課後、二人でうちによってよ、ね?」
「最低!」
バシッ
「最悪」
ボコッ
(何で空峰くんとこんな手錠でつながらないといけないのよ)
(何でいいんちょとこんな手錠でつながらなきゃいけないんだよ)
キーンコーンカーンコーン
ガラガラガラ
(あっ、先生が来ちゃったぞ)
(どうしよ、どうしよ、どうしよ、どうしたらいいの)
「ん、空峰と委員長、何やってるの?」
カツカツカツ
(キョウコ先生が近づいてくるよ……みんなも見てるし……)
(やだどうしよう、やだどうしよう……)
アセアセ
(……ああ、これで委員長の座も終わりね……)
「なになに、ははーん、二人でそんなプレイをしていたのね、ふふふ」
(はい? どんなプレイだ!)
(プレイって何?)
「はい、席について。皆さんおはようございます」
カツカツカツ
「先生、普通に戻っていったね」
「なんでこれを見て普通に戻るわけ? 信じられないっ」
プンプン
「私、席に戻るから」
グイッ
「痛っ、僕はあっちなのに」
(そんなに引っ張ったら腕がちぎれるよ!)
「今日は早速だけど、席替えをします。ふふふ。空峰と委員長は今回は特別に一番後ろの、そことそこね。仲良くね。ふふふふふ」
「せ、先生、勝手に決めないでください!」
「先生! 何でいいんちょの隣なんですか! 僕の青春を返してください!」
バシッ
「空峰くん、私のこと悪魔か何かと思ってない?」
(悪魔でしょ、いや閻魔大王か)
「だって~二人は、手錠で繋がってるでしょ~。精々十五センチしか離れられないじゃない? 今回はと・く・べ・つに席をくっつけてもいいわよ。ふふふふふ」
ガクッ
(終わった……)
「なんでそんな目の前で焼きそばパンが売り切れたような顔をしてるのよ」
「だって、いいんちょの隣じゃ癒やされないじゃん」
「はっ? 何言ってんの? この癒やし系代表の私の隣よ? 光栄に思いなさい」
「癒やし系? ぷっ」
ガツッ ボコッ バシッ
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