第8話 むかーしむかし、ある所に。


お爺さんとお婆さんが住んでいました。お婆さんが川で洗濯をしているとドンブラコ、ドンブラコっと。ドンブラコ、ドンブラコっと。…って、これ桃◯郎じゃねぇか!!


「…マンティコアか…。確か、伝説の生物で人間が好物だったな。」


「…そうね、ライオン位の大きさでその姿は、体の色は赤く、尾はサソリの尾に似た形状で、そこに毒針があり相手を刺したりする。3列に並ぶ鋭い牙を持つが、顔と耳は私達人間に似ているらしいわね。」


「あ、私も知っています。走るのが非常に速く、人間を好んで食べるみたいですね。」


「…ほぅ?俺は聞いた事無いな。」


サラリーマンは、顎に手を添えて考え込んでいた。

エリーは、自分でその様な生物を操る力はあるか、そして自分に従順なるかならないのか…少し不安に思ったが、だから何だと言うのだ?私はあの汚物共に裁きを下すのだから、この様な小さき問題に躓いてどうする?


従わせられなければ、私はその程度の器だろう。


「…エリーちゃん、どうする?」


「クハハッ、良い。使えそうだから、出してくれるかな?」


「わ、判ったわ。今牢から出すわ、少し待っていて頂戴ね。」


コラックスは、その伝説上の生物であるマンティコアを牢から出しに厨房の奥にある扉からその下へと降りていった。それだけ危ない生物と言う事である。厳重に扱われて牢に閉じ込める程に。



「…ねぇ、エリー?貴女、本当にあの伝説上の生物であるマンティコアを従わせられるのかしら?」


「さぁてね、解らんよ。兎にも角にも会って見なければな。」



ーー


「つ、連れてきたけれど…気を付けた方が良いわ。」


コラックスが連れてきた、頑丈な檻に入れられてあるマンティコアをエリー達は見遣る。確かに、文献上に記されてある通りであった。体色は赤色、鋭利な牙、尾には蠍の尾と同様な尾、顔と耳は人間、大きさはライオンとほぼ同等である。只、エリーはマンティコアと眼が合った瞬間(あ、こいつは鍛えればもっと使え、強力な仲間になるであろうな。)と思ったらしい。


「…グルルルルッ!」


「へぇ、お前かい?伝説上の生き物である、マンティコアとやらは。」


「グガアアアァッ!!」


エリーに対して威嚇をし、殺気を放つマンティコアは人間を不信に思っており敵である。私に触れてみろ、食いちぎってやると言わんばかりの更に殺気を放った。


「…やるねぇ、良いねぇ!そう来なくては、つまらないだろう?」


「…?」


「お前、私と共に魔の族共や堕ちた人間を喰わないか?視た所、素晴らしい殺気に人間不信があるみたいだね。私達と居れば、不自由はしないさマンティコアよ。」


マンティコアはそう言われて考え込む。

今みたいな牢の中に檻ごとぶっ込まれ、食事もろくに与えられやしなかった。それだけを考えると自由や食があると言う条件は良い。が、エリーは “魔の族” と言う言葉を吐いたが、マンティコアは今一それを理解が出来なかったらしい。外を観たのはいつ位か記憶に無いのであろう。それ故、人間を認知しているがそれ以外を全く知らないのである。マンティコアはモヤモヤな感情を抱いた。


「…ふむ。魔の族共を知らないか…。良いねぇ!(それこそ調教のしがいがある!)」



その場に居るエリーとマンティコア以外は思ったであろう。(絶対調教のしがいがあるとか思ってんじゃねぇか、この人)



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