第34話緊急クエスト発令 討伐【串刺し公】


 【串刺し公】ツェペシュが発生した毒沼へ向かう冒険者の総勢は500名にも及ぶ数が集まった。

 偵察に出ていたスカウトの報告によると、繁殖して増えた個体が合計9体おり、【串刺し公】ツェペシュ本体を合わせて10体の変異体ローパーがいる事になる。


 各自50人で1体を討伐する形になる大規模レイド戦となる。

 戦略的な要素まで絡んでくるな、不測の事態が発生する可能性がある以上、最新の注意を払って動かなければならない。


 ローパー戦に全力を注げるようにサポート要因も必要になってくるだろう。

 戦闘で前衛と後衛が生きるように指揮する実力を持った指揮官の選定も重要になってくるだろう。

 それに【串刺し公】ツェペシュを討伐するPTには本当の実力者を集めなければいけない、クエストの成否もここに掛かってくる。

 【串刺し公】ツェペシュを討伐仕切れなければ、新たな特殊個体を更に生み出されて、しまい元も木阿弥となってしまう。


 10チームに分けて行くことになったが、各部隊の紹介しておこう。

 【串刺し公】ツェペシュ討伐本隊指揮 【隻眼の死神】ガゼル 率いるギルドマスター選別の精鋭部隊。


 第2部隊 【炎帝】アルフォンス率いる近衛騎士団

 第3部隊 【王佐】セバスチャン率いる執事、メイド部隊

 第4部隊 【殲滅者】宮廷魔術師 ローゼンンシア率いる上級魔術師隊

 第5部隊 【剣神】王国剣術指南役 アルバート率いるソードマスター部隊

 第6部隊 【業炎】ジム率いる魔法剣士部隊

 第7部隊 【兎殺者】ユート率いる萌え豚部隊

 第8部隊 【姫騎士】ソフィア率いる聖騎士部隊

 第9部隊 【覇王】麗覇 率いる【我が覇道】+精鋭プレイヤー


 以上が討伐メンバーとなる。

 他に、プレイヤーが2000名参加して、毒沼のモンスターを間引いたり、バックアップ体勢の構築を行っている。

 怪我をしたメンバーが出た場合の、即時回復復帰をどれだけの速度、精度で出来るかが重要になってくる。


 【支配級】が直接統括する特殊個体達は、ステータスが大幅にアップするらしい。

 前回戦った特殊個体の3倍程度の能力は発揮するようになる、と聞いただけで愕然とした。

 それだけの補助効果を得た個体の再生能力はかなりのものだろう。


 瞬間火力が無ければたちまち無傷の状態に戻ってしまうだろう。

 これは、予測の段階でしかないらしいが、全ての個体が繋がっている可能性があるらしい。

 もしもそうなれば【串刺し公】ツェペシュを討伐するには、非常バッテリー状態になっている他の個体を全て倒さなければならないかもしれない。


 様々な可能性を考えて動かなければならない。

 今回ばかりはNPCが戦闘に立って戦ってくれるので、ある程度は安心できるが、正直な気持ちを言うとそれでもキツイ気がする。


 俺の狙いとしては、各特殊個体を早々に片付けて、各部隊の最高精鋭を集めて 【串刺し公】ツェペシュを倒すことである

 こういった大規模戦闘の経験はないので、自分がどれだけの働きをする事が出来るかわからないが、俺の究極スキルアルティメットを使って、絶対に死人を出さないようにしたい。


 各部隊にシンパシーストーンを配っておいたので、助けになってくれるだろう。

 俺の実力不足はアイテムが補ってくれるはずだ。プレイヤー達もそれぞれ秘策を持っているはずなのできっと想像以上の働きをしてくれるだろう。


 「皆よく集まってくれた。今回は毒沼に発生した【支配級】の特殊個体の討伐が目的である。その為にも繁殖して増えた、通常の特殊個体の討伐も必要になってくる...決して死ぬなよ!」

 「たくさんの人に協力してもらえる事、感謝致します。この国の王女としてお礼申し上げます」

 王と王女の言葉に続き、ガゼルが号令を発する。


 「王宮からも協力を貰い、今回の緊急クエストを開始する事となった。当初の情報とは異なり、かなり大規模な討伐となる。【支配級】という国難レベルのモンスターが発生したが、全員が一丸となって事に当たれば、超えられない壁など無い!皆の奮戦に期待する!」


 王都城門前に集結した討伐隊は出発した。

 毒沼では、今も偵察部隊やザコ討伐部隊が仕事をしてくれている。

 移動中にも援護の魔法がバンバン飛んでくる。


 【攻撃力強化】【防御力強化】【力強化】【体力強化】【敏捷強化】【知力強化】【魔力強化】【持続回復】【攻撃回数増加】【クールタイム短縮】【幻影付与】【耐性強化】【属性強化】【射程強化】【命中率強化】【効果範囲拡大】【硬直時間延長】【クリティカル率UP】【効果時間延長】【スタン効果付与】【状態異常時間短縮】.....と見た事がある物無い物とドンドン飛んできて、ステータスの効果付与欄が埋め尽くされて表示しきれないので、AIのアドリブで表示欄が拡大されるという不思議演出を見てしまった。


 士気も上がりとても良い状態で戦いに臨める。

 「これで活躍する所を動画に残して見せれば....デュフフフフ」


 不純な動機で動く者もいるが、最善を尽くそうと思う。







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