第26話ウェポンマイスターで掘り出し物を発見? 極悪極強の魔剣と第2の兎殺武器
そんなこんなで色々あった俺達だが、お金も貯まったので装備を買いにいく事にした。
王都西門から中央広場までのメインストリートに、『ウェポンマイスター』という店があるそうだ。ガゼルも、ここならそれなりの装備が揃うだろうと言っていたが、店主が変わっているから覚悟を決めてから行くようにとの事だった。
中央広場の露店で適当に朝食を済ませた俺とエリーは、さっそくウェポンマイスターへ向かった。王都西部は職人街といった感じで、武器や防具だけでは無く生活雑貨や服飾関係等、エリアは分かれているが多種多様な店舗が営業していた。
大きな看板に『ウェポンマイスター』と書いてある。薄らと修正した跡が...ソレス..タ読めないので諦めよう。
店は3階建ての大型店舗だった。200坪程はあるだろう大きさの規模から見ても、王都でかなりの評判を持った実力店である事が伺える。
「よう、いらっしゃい!武器を探してるのか?」
明るい感じのイケメンが声をかけてきた。
「俺はロックだ、よろしくな。このソレ...ウェポンマイスターで働いている店長だ。ただし、オーナーは別に居るけどな」
特にコレが欲しいっていうのは無いが、色々見せてもらうか。
「初心者が使うような、安い・弱い・軽い武器はいらないですね。値が張っても良いから、上質の素材が使われた武器が見たいです」
「言うねぇ、確かにお前さんの持ってる雰囲気はベテランの物だが...人造聖剣か低ランク魔剣なんか使えないだろう?価格もそれ相当の物だが、ステータスや職業も必要になってくる」
そうか、現実なら9割9分程の武器や防具は誰でも使えるようになるが、こちらの世界はそうじゃないんだったな。これは良い勉強になった、ガゼルの件もそうだが、余りにもリアルだから現実と同じ感覚で物事を考えてしまう。
「使える物もあるだろうし、とりあえず見せて頂けませんか?」
「OK!お前さんにピッタリのガン...武器を見繕ってやるぜ!ああ、あと敬語は止めてくれ。もっとフランクにいこうぜ?」
連れて行かれたのは、2階にある高級武器が並ぶフロアだった。
「ここらに置いてある武器は、金級以上の上級冒険者も使うランクの装備が置いてある。アダマンタイト製やオリハルコン製の武具も混ざってるが、純度はそこそこだったり、別の金属をコーティングするような使われ方がメインだな」
確かに上級冒険者が使うだけあって、上質な素材が使われている。
「マスター、この剣はとっても綺麗ですね!装飾も華美じゃなく、実戦向けの美しさです」
価格『金貨300枚』【ミスリルソード+5】耐久値 600/600 【頑強】【再生 弱】
攻撃力+95 魔力+15 装備者に、スキル【斬魔】付与
ミスリルにオリハルコンを微量混ぜて作られた剣。装備者の魔力を増幅する力を持ち、装備者の腕次第では、魔法を切り裂く事も可能になる。
高度な強化エンチャントが施されており、『衝撃に強く耐久力が高い・少しの損傷なら再生する』効果を得ている。
剣一本見てもかなりの逸品である事は一目瞭然だ。この店の武器なら、ユニーク装備やレアドロップでもない限りは、品質で劣る事は無いだろう。
見る限り、どれも名剣と言っても過言では無い品質の武器が並んでいる。
兎用じゃなくて、普段使いの協力な武器が欲しい所だ、武器は強ければ強い方が良いが、レベルを上げる気はないので、条件にパラメータや職業が入ってこない物が良いだろう。
「ロック、条件が優しい装備で、このフロアにあるランクより上の装備はあるか?」
「無い事はないが...やはり条件の甘い物はどうしても他よりも性能が劣るぜ?それでも良いなら紹介しよう」
「大丈夫だ。値段は気にしないで、ベストな物から紹介してくれないか?」
「了解だ!お前さんにピッタリの装備を俺が狙い撃つぜ!」
なんか、必中しそうな雰囲気をかもし出してるな。
ロックに案内されて3階に上がると、かなり頑丈な扉があった。アダマンタイト製な上に、結界まで張られてるって事は、中身は相当なレベルの物だって事が期待できる。
「すごい厳重さですねマスター、結界で遮断されていますが、中から感じる魔力はかなりの物だとわかります」
「嬢ちゃんはクリスタルだけあって敏感だな。この中には聖剣、魔剣やらがゴロゴロ展示されてるからな。下手すると、精神力の弱い奴は魔剣に支配されかねん」
そういうと、結界に手を翳して呪文を唱える。結界が解除されて、扉が独りでに開いた。
中からは濃密な魔力の気配が漏れ出しており、これほどの密度の中に入ると弱い者や耐性の低い者は間違い無く、魔力酔いを起こすだろうと判断した。
この世界ではステータスの力も働くので、万が一が無いように俺自身も気を展開する事にした、エリーは大丈夫だと思ったが念の為、気の衣を纏わせておく【闘気法・壁】
「賢い選択だ、二人とも大丈夫だとは思うが、一部かなり危険な物もあるからな。耐性を強化して置く事ができないようなら、ここで待ってもらうつもりだった...行こうか」
中は武器庫としか形容ができないほどびっしり武器が保存されていた、壁に掛かった剣・槍・斧・杖・ナックル等、用途の様々な武器が所狭しと保管されていた。
「候補は3つあるんだが、コイツなんかどうだ?」
ハートのキングが描かれたケースを開くと、そこには聖気を放つ一振りの聖剣が入っていた。
価格『金貨5000枚』【偽聖剣 デュランダル】耐久値 ∞/∞ 【不壊】【斬鉄】【不死殺し 弱】
攻撃力+250 力+20 体力+20 敏捷+20 魔力+20 装備者に、スキル【斬魔】付与
聖剣デュランダルを元に作られたレプリカの人造聖剣。柄の中に聖遺物は納められていないので、実物同様の能力は発揮していないが、限りなく実物に近い能力を付与されている。
『破壊不可・鉄をも容易に切り裂く・不死属性を持つ相手に特攻+100%』効果を得ている
....予算オーバーだが、店で売っていて良い物なんだろうか?まぁ、1本しか無いし買うのも相当な苦労を要するだろうけどな。
「予算オーバーだ。ところで、希少な鉱物やインゴットを換金したり、支払いの代わりにするのは可能なのか?」
「まぁ、物に寄るな。銀だの金だのは腐るほどあるからな、最低でもミスリルレベルからだ。品質の問題もあるから値段は上下するが、仮に品質をAとしてミスリルインゴットなら金貨200枚、アダマンタイトインゴットなら金貨800枚、オリハルコンインゴットなら1200枚で引き取ろう。それ以上の出物があるなら、鑑定士を呼んでから直接鑑定して、詳しい値付けをする事になるだろうよ」
素晴らしい、この剣でも余裕でGET出来るじゃないか!!まだ2つあるみたいだし、次を見せてもらおうか。
「次はこいつだ、これもかなりの上物だぜ?うちに置いてあるのが不思議な位だ」
指輪の描かれた箱が開くと、かなり強い魔力を感じさせる剣が入っていた。
価格『金貨4000枚』【偽魔剣 グラム】耐久値 999/999 【頑強】【斬鉄】【竜殺し】【再生 強】
攻撃力+200 力+30 体力+30 敏捷+20 装備者に、スキル【斬魔】付与
魔剣グラムを元に作られたレプリカの人造魔剣。実物に使用されている、神鉄製では無い為性能は実物に劣るが、限りなく実物に近い能力を付与されている。
『衝撃に強く耐久力が高い・鉄をも容易に切り裂く・竜属性を持つ相手に特攻+200%・損傷を再生する』効果を得ている。
これも凄い性能だ。特に【竜殺し】は破格の性能だろう。攻略を進めていけば、どこかで必ずドラゴンと相対する事になる攻略陣には、喉から手が出る程の性能を秘めた武器と言えるだろう。
「最後はこいつだ、高すぎるから最後に紹介したが、買う事が出来るならウチに置いてある中では最高の武器だろうな」
ヤドリギの絵が描かれた箱を開けると、今までとは段違いの神々しい気が溢れだした。
部屋一杯に溢れている魔力を押しのけるように、箱からあふれ出した力が部屋に広がっていく。
価格『30000枚』【魔剣(弓)ミストルティン】 耐久性 ∞/∞ 【不壊】【神殺し 超】【HPMP吸収 極】【寄生】【生命力】
攻撃力+500 力+100 体力+50 敏捷+50 知力+50 魔力+50
ヤドリギの名を冠する魔剣(弓)。形状を剣と弓で変化させる事が可能。悪戯の神ロキが盲目の神ヘズを誑かし、光の神バルドルを殺させた時に使用された神器。
『破壊不可・神属性を持つ相手に特攻+500%・攻撃した相手に与えたダメージの40%をHPMPとして吸収する・ダメージを与えた相手に一定確立で継続ダメージ・致死ダメージを受けた際、一度だけHP10%で蘇生』効果を得ている。
これ!絶対これだ!!破産しても借金しても手に入れる価値がある。一生物の超絶プレミア武器だよこれ!!戦いに対して、死に難さ&継戦能力を追及する俺向きの装備だ。
殺してでも奪い取る価値がある武器だ。ア○スソードなんか比べ物にならんぞ!
「これだ!ロック!この剣をくれ!俺のありったけを出す価値がある」
「あ...ああ、お前さん死ぬほど金持ちだったんだな。公爵でもちょっとビビる金額だぞ?剣1本の価値としては最上級の剣を即断即決で買うとは....恐れ入ったよ」
「うっしゃあ!ミストルティンGETだぜ!」「マスターやりました!」
エリーとハイタッチしてグルグル回っていると、部屋の端にある黒い箱が目に入った。
....あの黒い箱は何だ?剣、弓、槍と無差別に突っ込んである。
「ああ、あれは特価品だ。いわく付だったり、鑑定しても装備条件が見えない特殊な装備が置かれているんだ。買い手が付かないからどうするか悩んでる....言い方は悪いが不良在庫だな」
「見ても良いか?なんか気になるんだよな」
「こんだけ大きな買い物したんだ。好きなの一つサービスで付けるぜ?持ってけよ」
箱を覗き込むと、頭に不思議な声が響いて来た
(やっと気づいてもらえましたね?置いていかれそうでドキドキしました。....選ばれし者が来たと部屋に入った瞬間感じました。既に魔剣も従えておられるのですね?)
箱の方から声がしたと思ったら、ライターが共鳴して光っている。
あれは...弓か?黒銀に輝く大弓が箱から浮かび上がった。
【魔弓ラビットスレイヤー(能力封印超)】(0/100) 耐久値 200/200
攻撃力+10 魔力+10 スキル【火魔法】【水魔法】【地魔法】【風魔法】付与
ラビット系モンスターの命を糧に成長する弓
所持者の半径100m以内に存在する。ラビット系モンスターのステータスを半減させる。
魔弓第1モード解放 「破壊バスターモード」
独立形態へ変形「鳥形」して戦闘に参加する。所持者の魔力とMPを糧にして魔法や魔弓の矢を放ち、敵を撃滅する兵器と化す。
高速飛行から高火力射撃の連撃を得意としており、広範囲殲滅戦略に特化している。
モード中は徐々にMPが減少する。兎系MOBを撃破するとMP回復5%
【魔剣】【魔弓】が揃いました。既に第1モードが解放されているので、【複合モード】が解放されます。
【強襲破壊ウサルトバスターモード】が解放されました。
解放に伴い、戦闘時の兎殺ゲージが解放されます。
兎を撃破する事で、兎殺ゲージがMAXになると強襲破壊モードに移行します。
小型魔剣の数が4→8 小型魔剣は、飛行可能な翼を持つ兵士【集団レギオン】に覚醒進化します。
レギオンは個々が自立して剣技・魔法を行使するようになります。レギオンの能力はマスターに依存するので、使用可能なスキル・魔法はマスターが使用可能な物だけです。
尚、目視可能範囲の兎を殲滅するまでモードを解除する事は出来ません。........
神器だけでも凄いのに、とんでもない事になってもうたーーーーー!!!!
「おや?お前さん...どうやらその魔弓にロックオンされちまったみたいだな?持ち帰りはそれで決定でいいな?」
「んじゃ、とりあえず清算よろしく頼むぜ?」と言われて、アイテムBOXからインゴットを出す事にしたが、手持ちの素材は品質が高いので、買取額が大幅+になった。
ミスリルインゴット(品質 A+)x10 金貨3000枚
アダマンタイトインゴット(品質 A+)x11 金貨9900枚
オリハルコンインゴット(品質 S)「セバスチャン」x9 金貨14040枚
オリハルコンインゴット(品質A+)x1 金貨1320枚
全部で合計が金貨28260枚になったので、手持ちの金貨1060枚と冒険者ギルドの口座から金貨680枚を引き出して金貨30000枚だぜ!
何とか、手持ちにオリハルコンインゴットを1本残す事が出来た。これはいつか必要になるはずなので上出来な結果だと言えるだろう。
「まいど!これでお前さんもお得意様の仲間入りだ。これからもよろしく頼むぜ?いや~実に良い取引だったぜ?売れない剣よりも、絶対に需要がある素材がたんまりある方がボロ儲け出来るってもんだぜ!ヒャッホー!」
お互いにWIN-WINな取引が出来たようでこちらも大満足だ。
これで俺の行動範囲が広がると共に、殲滅力と生存力が急上昇したぜ!装備してさえいれば、プレイヤー屈指のパラメーターにもなっただろう。
しかし、大弓なんて持ち歩けないからなぁ、アイテムボックスにいれると戦闘時に取り出す手間がある。どうするか?
(マスター、大丈夫です。戦闘時以外は、邪魔にならないように変化しています)
光の粒に変化したと思ったら、俺の腕に向かって集まり、黒銀の腕輪に変化した。
(我々、兎殺シリーズの装備は全て形態変化が可能です。その魔剣も邪魔になるようでしたら、命ずる事で変化するでしょう)
(出やがった!マスター好き好き大好きのデレデレ魔弓め!足引っ張るんじゃねぇぞ?)
(心外ですね。我々はマスターを敬い、終わりが訪れるまで尽すのが使命です。貴方のような下劣で品性の無い魔剣が存在する事それこそが、そもそも間違っているのでは無いですか?)
おおう、コイツら意外と仲悪いのな。個性があって結構だが....まだ増える可能性あるんだよね?
「他には何か目についた武器は無かったか?」
「どれも素晴らしい装備ですが、これ以上にピンと来る物はないですね」
「ウチの装備は全部一品物だから、鋳造や量産品は一切無い。だから、使い手と装備は運命的な出会いがあって欲しいと思ってる。今必要ないなら無理に買う必要はないさ。良い装備と巡り合うのも運命って奴だぜ?ああ、それとウチは購入者に【専用化】【強奪不可】をサービスしてるが、どうする?」
「よろしく頼むよ。さすがに無くしたり盗られたりしたら絶望ものだしな」
「任せろ!もし、仮に手放す事になったらウチに持って来いよ?解除用のキーは保存しておく、不足の事態が起きても大丈夫だから安心しろ、俺意外にキーは使えないし、操られたり幻覚を見せられたりしてもキーは使用出来ない様になっている」
ロックが【魔剣(弓)ミストルティン】と【魔弓ラビットスレイヤー(能力封印超)】に手を翳すと光が発生して、俺と武器を繋いだ。
「ついでにサービスだ。その剣と衣にも付与してやるよ!」
「感謝するよ、今後もこの店を贔屓にさせて貰う」「そらありがてぇ、サービスした甲斐があるってもんだぜ!んじゃま、今後ともよろしくな!」
そう言って踵を返すと、手を振りながらロックは1階に戻っていった。
まさか、店売りで伝説級レジェンダリーの武器が手に入るとは....まぁ、この価格だからなぁ、プレイヤーが一丸になって購入でもしない限り購入なんか不可能だろうな。
それに、見せて貰うにも資格が要りそうだ。他のプレイヤーなら金貨5000枚クラスの装備を複数購入しての転売や使いまわしなんかをやりそうだし、二刀流という使い方もある。
何にせよ、得がたい武器を手に入れたのは間違い無い。これならばもしかすると防具屋等の装備や消耗品を扱っている店にも、掘り出し物がある可能性が濃厚になってきたな。
金を荒稼ぎして、たんまりプールしておく必要が出来たわけだ。国王謁見の権利を使って融資して貰うのもありかも知れないが、俺の場合は何時でも何度でもの権利がある分、チート臭いので(今更何いってんのお前?)止めておこう。俺にだってこだわりというものが有る。
「マスター、まだ時間がありますから早速試し切りしに行きませんか?」
「それは良いな。ちょいと稼ぎに行きますか」
そう言って草原に出かけた俺達は、また兎達を虐殺するのだった。
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