第12話【炎帝】アルフォンス 乙女座の男襲来 初めてのユニゾン【究極スキル】発現
....ああ、朝が来てしまったか。
結局、あの後はソフィアの服を調達する為に、エリーと共に協力する事になった俺は、昼から延々とソフィア&エリーがコラボしたファッションショーに付き合わされる羽目になった。
「どっちが私に似合うのだ?こっちか?私はやはり白が良いと思うのだが...」
「マスター!ソフィア様なんか放っておいて、私を見てください!この青のミニスカートなんてどうですか?しましまニーソも付いてきます!」
流し目を送るシャイなソフィアも良いし、積極的にアピールするエリーも素晴らしい!
(あ...絶対領域の確保だけは....「しまニーソと聞いて」む?もう一人の俺が顔を出した。いやしかしだな同士よ、確かにニーソは.....)
「またです。カッコいいご主人様も、エロ方面に向かうと駄目マスターにクラスチェンジです。駄目マスター、マスター駄目.....駄スター...雑巾のような価値しか無くなった私のマスター」
「エリー...毒舌ですね。しかし、その点に関しては同意です。私を助ける事無く、泣き叫び辱められる私を視姦するなんて....結婚するしかありませんね♪」
「あんた嬉しそうですね?マゾですね?実はあのシチュエーションを楽しんでいたでしょう?」
「...そそ..そな..そんな事は..ござり...ございませんでしてよ?」
なるほど...このメス猫、実は特殊性癖持ちだったのですね。
どうせ......
ソフィア「くっ!殺せ!」店主「じゃあ殺そう」 ソフィア「えっ、ちょ!待っ…もっと定番の、ほら..こう展開がね、あるじゃない?」店主「アルフォンスには悪いが、殺す事にするか」
女騎士「あーなんか下腹部が!下種なオークに屈辱的な事をされてー下腹部が疼いてきたかなー!騎士としての誇りが....でも体が疼いてしまってーーー!」
....みたいな展開を想像していたに違いまりません。そんな変態にはマスターはやれないのです。
なんかトリップしてる間に、微妙な空気が二人の間に流れている。よし!
「二人共、とっても似合っているよ!このままデートに出かけて、周りの奴等に自慢したいくらいだよ!」
「「そ....そんな!恥ずかしいです」」
...仲良いじゃないの。
というやり取りがあって、あちこち連れ回された後、ようやく宿を見つけて泊まったわけだ。
二人を相手にするだけでもこれなのに、ここにクリスとユグドラシルまで加わったら....体も心も持たないだろう。考えるのはよしとこう。
階下から扉を開ける音がする。
「こちらに【転生者】でユート様という方がお泊りになられていると伺ったのですが?」
「いくら、衛兵さんとはいえ、理由も述べずに聞かれたのでは、私も宿屋の矜持がありますので、おいそれとお客様の情報を、渡すわけにはいきませんな」
「これは失礼した。では....これを見てくれ....どう思う?」
「む!こ..これは!とても...とても王印です!」
「そうだ、彼は王室から招待を受けているのだよ。別に拘束してでも連れて来いとか、生死は不問とするとか、そんな物騒な事は....おっしゃっていたが、我々にその気は無い」
.....殺る気満々じゃねぇか国王。ソフィアの奴、一体どういう説明しやがったんだ?
まぁ、これ以上宿屋の主人に迷惑を掛ける訳にもいかないか。
エリーをクリスタル化して、階下に下りる。
「衛兵さん、俺がユートだ。」
「き..貴様ああああ!!!!貴様がーーーー!」
おい、その気は無いんじゃなかったのかよ!
叫び声を上げた衛兵が、勢い良くこちらに走りこんで来るのに合わせて構える.....が
「あああああー!!!ありがとうございます!! ズザザーーーーッ」
ダイビング土下座キターーーーーー!!
「姫様を娶ってくれるんだろう!なぁ、そうだと言ってくれ!頼む!頼むよぉ!」
事態が把握出来ん...どうして、こうなった?俺は何をお願いされている?
普通なら、どこの馬の骨かも分からん、怪しい【転生者】なんかに、我々の姫様は渡さん!とかが相場じゃないのか?
「貴方の困惑は分かる。別に我々とて姫様が嫌いなわけでは無いのだ。ただ...その、あのような美しい女性が騎士団長として訓練を行うのが、そして、内容が...」
「ほら!どうした、全力で打ち込んで来い!踏み込みが足りないぞ!もっとだ、鋭く早く」
「団長!護衛対象に全力で切り込み続けてどうするんですか!他にも訓練あるでしょ?」
「私に一太刀でも浴びせたら考えてやる、甘い!人数だけはいるんだ、取り囲んで私を痛めつけてみろ!ハァハァ」
なるほど....大変変態でした。
あの美貌で発情しながら訓練されたら、息子がやんちゃして訓練にならんよな
「なるほど、貴方達の願いは確かに聞いた、大丈夫だ。俺は相手がどんな性癖でも食っちまえる男だぜ?」
(マスター....やはり私の予想は...)
「とりあえず、王城へ連れて行ってくれないか?」
「外に馬車が用意してありますので、乗車してください」
うむ、歩きと違って馬車は早いねぇ。
あっという間に城門が見えてきた。
「止まれ!通行許可証を提示しろ」
城門前は、呼びに来た衛兵達とは比較にならない程の、高ランクな装備を身に付けた衛兵が警備していた。
魔法銀...ミスリルってやつか、薄く緑に輝く銀がピカピカに磨き上げられて鏡面の如き美しさを演出している。
こりゃ、攻略組からしたら生唾もんだな。半端な武器での斬撃なら、傷を付ける所か、衝撃すら打ち消されるんじゃないか?
「良し、通ってもいいぞ!周りに気をつけるんだぞ?」
へ?王城の中に入って警戒しろとかどういう事?
馬車を降りて、王の間へ向かう通路を進んでいると、案内役の衛兵が話しかけてきた。
「私はここまでです、ここから真っ直ぐ進むと中庭に出ます。更にそのまま真っ直ぐ進むと、謁見の間に繋がる大ホールがあります。扉の前に、ソフィア様付きの侍女が待機しておりますので、その者に声を掛けてください。」
「了解だ。助かったよ、案内ありがとう」
真っ直ぐ進んで中庭に出ようとすると、見えない壁が邪魔をする....ああ!生態認証機能がある結界が張られてるんだっけ?え~めんどうだな。
他の道知らないし....壊すか!
右手に気を集中して、螺旋を描くように気を練り上げると、そのまま結界に突き出す。天城流 破拳一式 旋破(せんは)!!
メギィィィーー 目の前にあった障壁に螺旋状のヒビが広がっていく、身長程度まで広がった所で、突き込んだ右手を勢いよく引き抜くと、パキィン!という音と共に、ヒビが入っていた障壁が砕ける。
おおっと、再生術式が起動した。閉じる前に入らねば!
(王城の結界を素手で破壊するLV1.....破格の化け物ですね)
よせよ、褒めたら照れるじゃないか。(褒めてませんが?)
ナンデ!?(逆に、どうして褒められると思ったんですか!?)
そんなやり取りをしながら中庭を進んでいると....殺気!?
「【潜在能力開放】【消滅属性付与】【一撃必殺】【限界突破】【不惜身命】【トリプルアクション】塵も残さず、くたばれ!糞ガキ!【メテオクラッシュ】【タイラントブレイク】【デスエクスキューション】」
うお!?おおおおお!!!これは.....死ぬ?
想像してくれ。君は背後から声を掛けられて振り向いた、そこには左前・前方・右前から全速力で向かってくる新幹線が!!!
仙術【思考超加速】....世界は止まる。
これは、俺も力を発揮するしかないか、エリー!いくぞ!【具現化】
「クリスタル」が青い光に変わり、俺の全身は光に包まれる。
光が収まると、蒼い鎧を身に纏っていた。
(マスター早速ですが、このまま究極(アルティメット)スキルを使用します。今のマスターのステータスでは、現実では防げても、ゲーム的にHPが全損して消滅します。)
確かに、スケープドールを2つ使い潰しても、最後の一発で吹き飛ぶなぁ...はは。
(ですが、安心してください。クリスタルはマスターの資質に合わせて、そのどれもが一つだけ究極スキルを所持しています。)
なるほど、頭にエリーの情報が流れ込んでくる。これが、俺の新しい力か...心が躍るじゃないか!これが、俺が望んだ力。倒れる事が無い、不屈の魂の形。
白く輝く消滅属性を秘めた、極大の衝撃が三撃....ユートに迫る。
「隕石をも砕く圧倒的な暴力の斬撃」
「暴君の如き強大な力を放つ衝撃波」
「死神の鎌の如く 魂を切断する鋭い刃」
そのどれもが一切手加減の無い、必殺必滅の一撃だった。
「行くぞ!エリー」(はい!マスター!!)
「我が力は守護」(我が力は不屈)
「不滅の魂と」(不滅の心で)
「全てを護り」(何度だろうと立ち上がる)
『これが俺(私)達の力だぁあああああ!!!!』
「「究極スキル【無限再生】(インフィニティ・リジェネレイト)」」
「「うおぉぉおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!」」
白く輝く消滅属性の光を強引に押し返す。
蒼い光の盾が、白く輝く消滅の力に破壊されて打ち消されるが、後から無限に溢れる様に湧き上がり、蒼い光が噴出する。
それでも、消滅の光はユートを滅ぼさんと、蒼い光を強引に押し切って、力をユートに叩き付けてくる。
HPの表示がどんどん減り、0に近づくが、まるで、時間を巻き戻したかのように、全快する。
それは、途切れる事の無い、何度でも立ち上がるという、ユートとエリーの意思を具現化した覚悟の力だった。
「この程度かよ!それぐらいで諦めるほど甘い生き方してねぇんだよぉおおお!!!!!」
蒼い光が更に強くなり、拮抗していた部分が白い輝きを喰らい始める。
その度に更に蒼き輝きは勢いを増し、全ての輝きを蒼に染め上げた。
「「この程度、楽勝だぜ(です)!!」」
光が収まると、目の前には、炎の様な真紅の髪に、全てを吸い込むような圧倒的な存在感を放つ灼眼を宿した男が居た。
鍛え抜かれた鋼の肉体を、その炎髪に合わせたかの様な真紅の鎧【紅炎鎧コロナ】に身を包み、今も全てを燃やしつくそうと熱波を放つ【紅炎剣プロミネンス】を手にした【炎帝】
この国の国王、英雄として今も語られ続ける、【炎帝】アルフォンス・レオンハート・クロスロードその人であった。
「素晴らしい!LV1にして破格の力!全てをねじ伏せるかの様な意思!護る覚悟....その実力と輝きを持って存分に見せてもらった。」
ガハハハ!と大声で笑う男を前に唖然とする二人に声が掛かる。
「ユート!エリー!途轍もない力のぶつかり合いを感じましたが、怪我はありませんか?」
「ん?ああ、ソフィアか?無事だよ。ジョーカーを切ったが、まぁなんとかなったぜ」
「よもやこのように素晴らしい婿殿に出会えようとは!乙女座の俺には、センチメンタリズムな運命を感じずにはおれんな!! お前達二人の圧倒的な輝きに俺は心奪われた……この気持ち、まさしく愛である!!」
.....は?何を言っているのかオレニハワカラナイ。
「逢えて言わせてもらおう!お前こそが婿であると!」
「やはり私とユートは、運命の赤い糸で結ばれていたようですね。そうです、結ばれる運命にあった!!」
「おっおい!俺とソフィアは会ったばかりで、俺は【転生者】だぞ?何時居なくなるかもわからない存在が王族に居て、民に示しがつくのか?」
「そんな道理、俺の無理でこじ開ける!!」
「それに、俺には護りたい者達が居る、ここだけに居るわけにはいかない」
「ガハハ!身持ちが堅いな、ユート!!」
「そんなに私が嫌いですか!?旦那様!」
「勝手にそう呼ぶ。迷惑千万だ!」
....はぁ、こいつらの相手をしていると、どっと疲れるな。
「実力を測る為とはいえ、殺しかけたんだ、褒美を取らすぞ婿殿。ついて参れ」
こうして、二日目の始まりから全身全霊の戦いを繰り広げた王城での決戦は、遠くから見守っていた近衛兵や重臣達の口から伝わり、王都に拡散していくのである。
「ったく...俺の平穏はどこに消えたんだよ」
(冒険しに来たのか、婚活しに来たのか分かりませんねぇ?)
俺達の冒険は前途多難である。
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