第10話社長の意地悪で嬉しいプレゼント? クロスロード王国「王都クロス」へ行く同士諸君へ捧ぐ
「諸君 私はゲームが好きだ、 諸君 私はゲームが好きだ、諸君 私はゲームが大好きだ。」
「殲滅戦が好きだ 電撃戦が好きだ 打撃戦が好きだ 防衛戦が好きだ 包囲戦が好きだ 突破戦が好きだ 退却戦が好きだ 掃討戦が好きだ 撤退戦が好きだ 平原で 街道で 洞窟で 草原で 凍土で 砂漠で 海上で 空中で 泥中で 湿原で この仮想空間で行われるありとあらゆる戦闘行動が大好きだ 」
あれは俺の好きなセリフのオマージュだな。っていうか有名だから、結構知ってる人いるだろうねぇアレは....小太りメガネで、スーツ姿にメガネで髪型まで再現せんでもいいのに。
「社長!長い!それ長くなるから短くして、パクらなくて良いから!カッコいいけど長いから!」
ユーザーまで突っ込みだした。言われてる社長も嬉しそうだ、オタク同志通じ合ってるな。
「最後まで考えたんだけど...作者も。よろしい!ならば戦争(クリーク)だ!馬鹿だなぁ、俺は運営だよ?吸血鬼だって出しちゃうよ?ドラゴンも?巨人も?悪魔も?エイメンも?」
パチン!と指を鳴らすと背後にシルエットが浮かび上がり、強力ばモンスターが出現する。
肌にビリビリと感じる程の魔力が渦巻き、漏れ出す殺気が肌を突き刺す。
ふむ、現実で龍と一戦交えた時のようだな。心地良い戦いの緊張感だ...が半分偽物だな。
.....まぁ、社長が僅かに本物を漏らしているのが、リアリティーを演出しているというのもあるにはあるが、その違いを見分けれる人が何人いるかな?
「はい、死んだ!駄目だよ!運営してる時の俺ってば、魔王もビックリの暴虐っぷりだからさぁ、あっははぁ」
半分偽物とは言え、中々の臨場感に素人さん達は氷ついてしまったか。
何人か殺気が漏れたな...ふふふ偽者だと気づいたみたいだが、お前等の気配...覚えたぜ?
「さて、諸君も冒険を進めて行けば、いずれコイツらの様な化け物と戦う事もあるだろうから、予行練習だよ。どうだい?凄いだろう?α社の技術力は宇宙一ぃいいいい!!!!!!」
「あ、うん...緊張も解けたよね?でも、今言ったのは本当だよ?攻略組の人は絶対に戦う事になるから覚悟しててね!特にβテストに参加していた最強ギルド【我が覇道】と隔絶した個人最強武力を見せ付けたリーダー【麗覇】さんには期待しているからね!MVPボーナスの開幕時からクラン申請許可OKを有効利用してくれよ?」
「それと、個人名は出さないし、詳細は言えないけど、たった一人だけ既に条件を満たしてユニークジョブを獲得した人が居る。行動からして我々の予想をぶっちぎってくれた。期待しているよ!」
「それと、お気づきかもしれないが、隠しパラメーターとPSはこのゲームでも重要になってくるからね!βテスターの前情報でもかなり詳細に分析されているけど、新要素もあるから期待してくれて良いよ!」
パチン!と指を鳴らすと、幻影達が消える。
「これから諸君にはクリスタリアに旅立ってもらうわけだが、僕から個人的にプレゼントがあるんだ。遠慮しないで受け取ってくれたまえ」
メニューが勝手に開いて、所持アイテム一覧が表示される。
「【清澄社長からのお得なプレゼント(選択式)】が表示されているかな?では、タップして開いてくれたまえ!」
1.DX回復セット(初心者ポーションx30 ボーションx20 エリクシールx1 回復軟膏x10)
2.絶対安全無敵セット回数制限有り(スケープドールx2 転移オーブ王都限定x1 蘇生薬x1)
3.俺も私も英雄体験セット(聖剣エリス&聖盾アルマ&聖鎧ガレス戦闘2回分 BOSS戦不可)
4.生産職支援 基本生産セット(調合・錬金・鍛造・縫製・調理・採取)3種セレクト
5.スキルの書(物理攻撃力UP 魔法攻撃力UP 基本ステータス強化 状態異常耐性 弱)1種セレクト
6.ムフフなチケットx2(【成人限定】妖精の花園or秘密の薔薇園)入手難度A!?ハーレム?
7.【クリスタル】成長促進セット(進化条件表示&必要素材獲得チケット)
上記より2つを獲得可能です。選択してください。
6....6を選べとオーディエンスが叫んでいる!そんな気がする。
だが、駄目だ。個人的にはすごーく選択したいが、断腸の思いで...断念する
好感度が危険だ!俺には分かる!一部のマスターは選択するとBADENDルート確定だと。
「いよっしゃーーー!!!!6!6!絶対6!」←コイツ絶対馬鹿、もうマジで本当に馬鹿!
右に浮かんでいるクリスタルが青から赤に染まり始めているが、俺には見えない。見えない。
女性プレイヤーが静かに離れているように見えるが大丈夫か?事案発生ですか?
「ふふ、俗物はこれだから、これは2だけは外せませんね。ならば、5か7が妥当でしょう」
インテリっぽい眼鏡君が呟いている意見は中々現実的だな。
「俺が1.4を取るから、お前は2.7で...そう、援護は任せろ」
ペアがいると便利で良いねぇ、羨ましいよ。
「悩んでくれたまえ諸君!開始までまだ30分あるからね?タイムオーバーはボッシュートだからちゃんと選ぶんだよ!」
俺は1.2のセットかな、回復薬は購入出来るだろうが、エリクシールはたぶん手に入らないだろう。それに、死を回避出来る権利は絶対だ。
それに、これらは本来の使用用途以外で必要になる気がする。少なくとも俺には絶対必要だ。
精神安定剤的な意味で必要だな。保険は多ければ多いほど良いのだ。
「さて、話の続きといこうか。君達は自由だ!クリスタリアに行ったら何をしても良い。世界の破壊とか目論んだら即BADENDだけど、自由に生きれば良い」
社長の背後に巨大な掲示板が現れる
「これは、諸君にはお馴染みのあれだ!情報交換も雑談も何でもOKだ。お約束もいつもと一緒だと考えてくれれば良い。使用用途に合わせて利用してくれたまえ!鍵付も可能だが、こちらでも内容は検閲させてもらうから覚えておいてくれ」
だが、社長の発言で重要なのはここからだった。俺は密かにニヤリとする。
「ここが大きな違いだから必ず忘れないようにしてくれたまえ!スレッドの内容を一部のNPCが閲覧し書き込む事がある。AIにも権利を与えてあると言う事だ」
!!!? 衝撃が走ったのが分かる。気にしていない人いるし、そもそも掲示板?という人も一部存在するからだろう。
「俺からはなぜこうしたのか明言しないでおく、一部のプレイヤーは真実に辿り着いているようだし、核心に迫ろうとしているプレイヤーもいるようだからね。俺は感動したよ?この世界への愛をビンビン感じたね!皆が答えに辿り着いてくれるように心から祈っている」
なるほど、これは面白い事になったな、流石は社長!やり手だな。
「【メニュー】を開けば、掲示板等の全ての機能が使える。ヘルプなんかも膨大な項目があるから、一度は目を通してみるのも良いし、困った時だけ検索機能を使うのもいいだろう。直接質問を入力してAIに質問出来るQ&A方式も採用したよ?どうだい?至れり尽くせりだろう!」
「転移地点はクロスロード王国、王都クロスだ。この世界の中心にある貿易中枢であり、他の国へのアクセスポイントでもある。道が交差する...故にクロスロードなのさ。沢山の人生が交差するこの国では様々なドラマが生まれていくだろう事は、ふふ...間違い無いだろう」
中指でクイッと眼鏡を上げるあれって格好良く見えるのは俺だけでは無いはずだ。
「最後の注意事項だ。この世界は現実とは確かに違うが、確かに一つの世界なんだ。この世界にも生きている者達がいて生活している。【転生者】(プレイヤー)とは違って死に戻りなんて無い。デスペナルティなんて無いんだ!毎日全力で生きているという事を片時も忘れるな!それを忘れた者は必ず不幸な結末を迎える事になるだろう」
興奮していたプレイヤー達が静まり返る中で、俺は覚悟をもう一度確かな物にしていた。
全力で生きよう。手から零れ落ちる物が無いように、誰かが落とした物を掬い取れるように、俺は俺の道を全力で突き進もう。
「それじゃ、プレゼントは選んでくれたかな?後5分だぞ?あっちとこっちの時間は3倍に設定してあるから、忘れないようにな!一日帰って来るだけであっちでは3日過ぎるという事が、どういう事か考えてくれよ。取り返しが付かない事が起きているかも知れないぞ?」
ピピピピピ♪ ん?個人回線?
『やあ!ユート君、俺だよ社長だよ。ふふふ、ビックリしたようだね?これはお互いの回線を通して脳内で会話しているから、喋らずとも伝わるよ?いや、君の叔父さんとお祖父さんには僕も本当にお世話になってね。どうしても、個人的に話したい事もあって回線を繋げたんだ。』
それで、どんな用件なんですか?
『まずは、感謝を述べさせてもらおう。【種】を目覚めさせてくれて。AI達に心を向けてくれてありがとう。これからも、我々の子供達と仲良くしてあげて欲しい』
当然です。こちらからも言わせて貰いますよ。この瞬間にも幸せを実感しています。この世界を、AI達を生んでくれてありがとうございました。
『....そうか。クリスやユグドラシル、エリーもだね。彼女達の気持ちが少しわかったよ。さて、時間も無い事だ、本題に移ろうじゃないか?君が死んだと思っている叔父さん、天城 流誠さんは生きている。現実世界では亡くなっているが、死の間際に脳から全情報を抜き取って、この世界に転写したからね。』
そうか、それで爺さんは死んだ理由も話さなかったし、葬式でも余り悲しんだ様子が無かったのか、余命が僅かだった事もあり、俺と同様に十分な時間で別れを済ませていたのかと思っていた。 去年の事だから、まだ俺もハッキリと覚えているが、何か二人でコソコソと話をしているようだった。
確かに、成功するか失敗するかも分からない事だ、話すわけもないか。
ああ、少しだけ話が見えてきた。こんな良いタイミングで爺さんが話を振ってきたのは、この件も関係しているのか。
『中々察しが良いね。そうさ、二人にはこのプロジェクトに協力して貰う事を対価に、人間の情報化という未発表の技術を提供した。結果、初の試みであったが成功した。』
なら、こっちの世界で叔父さんに会う事もあるだろう。楽しみがまた一つ増えたな。
『ええ~凄い技術だよ?リアクション薄くないかな?まぁ....あの二人の血縁と言われれば納得も出来るという物か。とにかく、そういう事だ。まだまだ、サプライズはあるんだけど、次の機会にしておこう。その方が楽しいしさ』
回線がプツリと消えて、繋がっていた感覚が消えた。
「さぁ、諸君!旅立ちの時だよ!我々スタッフにも会う事があるだろうけど、よろしく頼むよ?俺も一プレイヤーとしても楽しみたいと思っているんだ。え?PKしてやるから覚悟しとけ?上等だ!受けて立とうじゃないか!俺だって達人、天城 正虎氏から教えを受けた事だってあるんだ。見かけ通りだと思ってくれるなよ!」
兄弟子があそこに居た、爺さんが弟子を取る最低条件を突破したか...恐ろしい人間兵器が喋っている事に、誰が気が付いているだろうか?
気配から達人クラスに足を掛けているのではと、薄々感じていたが....これで少なくとも重機無しで、一軒家を解体出来る程度の腕前である事は、事情通の中では確定したわけだ。
「カウントダウン行くぞ!5!4!3!2!1!...ダイブ!」
【マスター、これから末永くよろしくお願いしますね?】
もちろんだよエリー。薄れゆく意識の中、どんな困難も二人なら乗り越えていける...そんな気がしているよ。そう呟くのだった。
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