第8話 終焉と始動
指さした先、ジャバウォックよりも更に上、道を開けるように暗雲が開いた先には、傷一つないアスラが一瞬見えたと思ったら大きな黒い光が空を覆い尽くした。
次の瞬間、黒い光がアスラが居た辺りに集まりだした。
そしてその光は数えきれない程の無数の巨大な黒い雷になってジャバウォックに振り注いだのだ。
何が起きたかわからないくらいあっという間の出来事で空を征するジャバウォックでも回避出来なかった。
無数の黒い雷は硬い皮膚のジャバウォックをいとも簡単に貫いた。
ジャバウォックの鳴き声と翼が風に乗せて痛みを伝えて来る。
翼がボロボロになり飛行出来なくなったジャバウォックの巨体が空気を鳴らし落下し轟音と共に壊れた武舞台上に横たわった。
アスラもゆっくりと下降して来て武舞台に足を着いた。
誰もが開いた口が塞がらない。
いったい何が起きたのだと。
ざわめく闘技場、決着がほぼついた事すら心に留められないといった感じで、皆一様に唖然に囚われた。
それはジャバウォックも同じだった。
それもそのはずである。さっきまで武舞台を瀕死の状態でなんとか立っていたアスラが急に空に現れジャバウォックを地に叩き落としたのだから。
空気を振動させる声質のジャバウォックがアスラに問うた。
「いったい何をした?」
アスラは剣を納刀しジャバウォックの目の奥を見て答えた。
「俺が斬りに掛かった時に時間を50倍速くする魔法と同時に俺のHP10 %を削って生きた分身を作り出した。 ただ時間加速魔法は癖があって2秒間速くなる変わりに使用後2秒可間完全に静止する性質があるからもし気づかれたら完全に負けてしまう。だから生きた分身を作って錯覚させて、わざと攻撃したくなる隙を作った。自分で言うと恥ずかしいけど強いで知名度の高い俺が見せる隙はかなりチャンスとして見えてしまうものだし優れたAIのジャバウォックならきっとそのタイミングを逃さないと信じたんだ。後は、気付かれずに居た長い時間を使って超級魔法、サウザンドスピアの長い長い詠唱を、息を殺してするだけ。なぁ、ジャバウォック。もうその翼では空を駆けれない。棄権しないか?」
ジャバウォックの表情には痛みと小さな笑顔が混在していた。
「我ら龍族は勝負に背を向ける行為を恥としている。なので棄権など有り得ぬ。アスラよ、我々の闘いを続けようではないか。」
そう言うとジャバウォックは痛々しい体奮い立たせ立ち上がった。
そして両者戦闘体勢に入った。その時だった。
闘技場に設置されたスピーカーからけたたましいノイズが鳴り響いたのだ。
その後、可愛らしい声質のアナウンスが鳴り響いた。
「え〜、ゴホンゴホン。」
「マイク入ってるわよ。。」
「えっ、あっ、どうしよう。。」
「早く言いなさーい。まったく。」
「は、はい!え〜っと、緊急大型アップデートを実施致しますので、大変申し訳ないのですが、強制ログアウトを施行致します。15時間程でアップデートが完了致しますので、今暫くお待ちください。大変急なアップデートをしてしまい、申し訳ございません。大きく変化するアップデートになりますので、きっと驚かれると思います。では強制ログアウトを開始致します。」
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