⑪行方
貴女と情愛。何度も恋。息を切って止まぬ
我が百合の花咲き乱れんこと積もる雪のごとし。ゆりんゆりんと舞い降りる暖かな結晶は綺麗なかたち。君のお熱に我が心身溶けたし。溶けたし融けたし解けたし、愛を遂げたし。花粉、其の雌花に触れんこと祈る。
宅のもとに帰りて、下の履物脱するところ、心配りたる母君急ぎて、「かくしていかなる所以あるか。
さようにして一夜を明ける。
貴女を尾け、御姿に胸焼かれる日々を過ごし。
見入り続けること十年余り。
或る日、貴女が籍を入れるあらまし、人づてに聞きたり。
噂を迎えるや否や、鼓膜が激しくと震える。
嗚呼。嗚呼。
十余年の経年が甦り、我を感ぜさす。
心の内が収めること能わず、泪は袖に重く集う。
我、悲しきかな。我、望まざるかな。我、妬ましきかな。
我、我、我。
しかれど我、貴女を想う。
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