新月にて

 私を独りにしないで

一度として独りだったためしがない君

 置いていかないで

老いてイカレた庭木がひとつ

 月夜の月を私と見て

ツギハギばかり渡したね

 ピカピカしている夜よ ねえ

犯した罪の罰を科す

 月夜の月よ月夜の月

嘘つきばかりが浮き世は尽きない

 月ない夜は寂しかった

わさびにしとしと雨の降る

 夜は私とともにいて

常世の虎と盗られた轍

 人生なんて忘れたわ

白色矮星 高密度の人生

 からだが熱いの

のどを潤す水銀の洞

 あなたホラ吹き狐の目

ほらねえ那由多のやまない風が吹く

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