不立役

無一物で立つ峠

雨月に叶わない夢の明かる

明らめて酩酊し野垂れ死に

路傍の草の露にも満たず

朋ありといえど遠方よりは来ず

おずおずと柚子の実仰げば弓月あり

あかあかあかや矢かかや

卑猥な矛もてみてぐらとして

焚き付けた木枝で暖をとり

いよいよ独りが極まった

ようやく夜の干潮 干潟の手形浚え

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