天使の降りる部屋

いけないいけない

すっかり静かなこの部屋に

無粋なものを入れてはいけない


とりわけ私などという

無粋なものを上げてはいけない


では子供たち眠っておいで

畳に汗を染ませてね


障子を引いて蝉の声する

あの青空を遊んでおいで


きっと天使が降りてくるよ

きっと睨む親の目を盗んでね

けっして開かない鍵で蓋した

箱の中へそれを仕舞いにね


そこで私は筆をおく

一息ついて冷やしておいた

サイダーの栓を抜く


天使はなおも降りてくる

最後の審判がよっぽど近いのか

空からどしどし降りてくる

街はそれなのに平然として

生け垣の向こうで変わらぬ噂


ああ子供たち遊んでおいで

空へ汗を吸わせてね


蝉の声を障子で遮る

畳の上の私を嗤ってね

さあ帰っておいで

天使と共に

その空の国

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