詩集 騒音譜

湿原工房

ダダは何も意味しないよ

意識ない幸せの堂々巡りが

俺たちの意識を襲撃するよ

だから疑いなく風はやんで

こと切れた雲の合間に詩行の降る

陽光の胴を照らすピロティで銘々の

楽隊を鳴らす港へ寄港しよう

原稿用紙を携えて

赤裸々な運搬が

凝結の海を潜って来るよ

来るよ

狂うよう

狂うよう繰るよ


狂うよう

狂うよう

ラッシュアワーの小地震に

雪降る海の七色に

明日が竜骨をもたげて沈んでいくのを

沖で見守り

ラッシュアワーの小地震

純白の操舵室に無人の人が

窓を割って巻く潮風を招き入れる朝

地面の深いところで埴輪が割れた


地面の深いところで埴輪が割れた

割れた地面の深い列断面が序を歌う

ネットマネーの猜疑心

投げ出したポケットの中

僕らの退屈を彼らの憂鬱

撃つうつせみ

見世物小屋のサトゥルヌス

裸と

着衣のマハ カプリチョス

下り坂で賑わって

曙光の向こうの港に船が休んで揺れている

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