第22話 予想外は想定内
「山寺、斉藤ちょっといいかな?」
木島は二人に話しかけ少し俺達から距離をおいた。
「何?木島くん。」
「ああ。ちょっと思ったんだが。このままじゃ、伏見の思い通りになってしまうと思う。」
山寺と斉藤は頷いた。
「だから、これから攻めるときは俺1人で攻めようと思う。」
少し木島の顔が強ばった。
「わかった。木島君に任せる」
「俺もその方がいいと思うし!」
「ああ。ありがとう。じゃあ、行こうか!」
……………………………………………………
「て、所だろうな。あいつ等が考えてそうなことは。」
「あんたのその本当に当たってそうな予想が一番怖いわ。」
清水は少し引きながら目を細めた。
「と、言うことで守備を少し変えるぞ。」
「昨日いってた二つ目のこと?」
「ああ。二つ目の方だ。」
そう言うと大鳥は頷き少し深呼吸をした。
「じゃあ、頼んだぞ。」
「わかったわよ。」
「わかった。」
後六分か、何とか点差を少しでも最初のうちにつけとかないとヤバイな。
俺はまた木島の前で守備についた。
「もう、油断はしないよ。」
「そうかよ。」
そう言うと同時に木島は態勢を少し低くしボールを床にバウンドさせドリブルを始めた。その時横からまた清水があらわれた。
「行かせないよ!」
俺は清水と目を会わせ合図した。
「今度はパスはしない!君達を避けて僕が自分で決める。」
木島は一歩大きく踏み出し俺達を避けようと体の重心を右や左にずらした。
「清水止めるぞ!」
「分かってるわよ!」
俺達は一歩木島に近づいた。
その瞬間木島が態勢を低くしたまま俺達の間をすり抜けた。
「君たちじゃ役不足だよ!」
「は!舐めんなよ!俺が唯で通すとでも思ったか?」
木島が俺達の間を抜けた瞬間大鳥がマークについた。
「ここで絶対止める。」
「っく!だけど君まで僕のマークに入ったら他はフリーじゃないのか?」
ああ、だから!その前にそのボールはとらせてもらう!
それにな!人ってのは突然のとこが起きると必ず動揺し体が一瞬硬直する。なら、そこでお前の持ってるボールを奪い取る。
「三人同時にな!」
その言葉と同時に俺と清水は後ろから手を伸ばし、大鳥はパスコースを塞ぎつつ木島の持ってるボールをめがけて手を伸ばした。
「君たちはわかってない………その程度で僕を止められたら僕がエースの筈ないだろ?」
木島はそういい放つとシュート態勢に入りボールを放った。そのボールはそのままゴールに入った。
「ハァ、ハァ、ハァくそ、これは規格外だな」
俺は膝を床につけ驚いていた。前には俺を見下す木島が立っている。
「この程度で俺を止められると思うなよ。」
はは。本当にこれは予想外だよ。まさかパスを出さずに自分でシュートを決めるなんてな。
「ちょっと、伏見くん?これも予想道理よね?」
「いんや?全くもって予想外だよ。それに災厄、山寺か斉藤に渡されてもゴールに入る確率は木島よりは低いからな。」
「じゃあ、どうするの?」
大鳥は少し焦ったように聞いてくる。
「そんなに心配するなよ。」
それに予想道理になるなんて最初から思ってないからな。
「だから、予想外は想定内だからな。」
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