毒舌「紫式部」が行く
若狭屋 真夏(九代目)
序章 紫式部
紫式部といえば「源氏物語」という王朝文学の金字塔である。物語としては天皇の子として生まれた光源氏の君がさまざまな女性とのラブストーリーを描いたもので全54帖、長編小説である。
現在でも香の遊びで「源氏香」と言って香に源氏物語の登場人物の女性の名前を当てるという遊びが香道にあり、また風俗で働く女性が仕事に使う名前、つまり「源氏名」ははじめ源氏物語の女性からとったから現在でもそう呼ばれている。
そんな「源氏物語」の作者紫式部は「優雅なまるで貴族」と想像しているあなた。
実に甘い、彼女の書いたとされる「紫式部日記」には同時代に活躍した文人の悪口が書かれている。
たとえば清少納言について「あのこさ~知ったかぶりして漢文とか使うけどミスおおいのよね~」だとか「あの子の将来に幸せが来るとでも思ってんの?」(訳したのは私)みたいなこと平気で書いてある。
しかも清少納言と紫式部実際にあったことは無い。あったことないのにこんな文句が言えるとは感心する。
同時期に活躍した和泉式部に対しては「あの子の歌は上手いのよ、それは認めるけどね、でもなんかあの子の恋愛につっぱしちゃう行動あれはいかがなものかとおもうわよ」(約同。和泉式部は恋愛遍歴が豊富だった)
うわ~怖いよ、このおばちゃん、みたいな感じなのだ。
今日でいうなら「この~はげ~」っていってる議員や「毒舌タレント」以上の事を言っている。
さてさて私は小説の中では「生殺与奪」のすべての権限を持っている。
したがって紫式部を現代社会によみがえらせちゃうこともできるのだ。ただし私の小説の中だけだが。。。
ここまで来たら皆さまお察しの通り「元祖毒舌タレント」紫式部に千年の時を経てよみがえっていただこうと思う。
もちろん紫式部の時代の言葉と現代の言葉は違う、まあそこを現代の言葉にチェンジして書いていこうと思う。
さてさてどんな物語が始まるやら。
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